Eさんの台北訪問記(2001年です。ご注意)

かつて中国オタクだった頃、台湾の映画「童年往事」の印象から、台湾は「ちょっと古い感じの街」というイメージを抱いていましたが、そのような面も残してはいたものの、台北は全体的に都会でした。皆親切で、大陸のそっけなさしか知らなかった私には、その下心のない自然な優しさはカルチャーショックでした。
お気に入りとなった所の1つは「牛乳大王」。ここのパパイアミルク(60元)は、パパイアの果実をその場で牛乳とシロップとでミキサーにかけてくれて新鮮です。白を基調とした店内はガラス張りで明るく、店員さんも活動的な制服(キャップもかぶっている)を着用、清潔感があります。何度か通っていたら、店員さんに「あなたたち、留学生?」と話しかけられました。とてもフレンドリーなんですね。(中国では「留学生」という身分を表す言葉を用いますが、台湾では「読書」という目的を表す言葉を使っていたのが印象的です。)
台湾名物の「夜市」は、「松山」と「士林」の2ヶ所行きました。士林はバスで行きましたが、運転手さんになぜか香港人と間違われました。バスを降りてキョロキョロすると、バスを止めて窓を開けて「あっちだー!」と笑顔で説明してくれました。松山の夜市は衣料品や靴が多く、士林の方は屋台が多いです。士林の屋台は活気があり、小籠包や愛玉臭豆腐(私はあの匂いがだめー)、焼餅などを食べましたが、どれも出来立てでおいしかったです。人出は、年末のアメ横並ににぎわっています。
今回の旅行の目的の1つは茶館めぐり。茶館の前に茶園を見たいと思いましたが、あまりにも遠いので「木柵」というところの「観光茶館」を見に行きました。都心から離れた山を車で登って行くと、茶館が何軒も点在しています。私たちは、その中の「満庭香」というところでお茶にしました。私たちは鉄観音茶と茶梅しか頼みませんでしたが、お料理の種類も多く、休日のドライブというような家族が食事を楽しんでいました。茶園は見にいきませんでしたが、台北郊外は少なくなっているようで、木柵に点在する茶畑自体は申し訳程度という印象でした。
街では、茶館めぐりをしました。台北在住のフリーライター、片倉さんご夫妻に紹介していただいた「竹里館」と、「奇古堂」の他に、ガイドブックで見た「紫藤廬」という茶館に行ってきました。それぞれに特徴があり、どこが一番ということはできません。「竹里館」はお茶料理の創作懐石料理と表現したらよいでしょうか。いろいろな種類のお茶で香り付けをしたお料理が食べられます。コース料理もありますが、単品の方がお得かもしれません。館主の黄徳昌氏に、庭で、プアール、鉄観音、ウーロンなど数種類のお茶を入れていただき、楽しみました。
黄氏の言葉で印象に残ったことは、「私がお茶で、お茶が私」という言葉。「IS TEA」という社名の意味です。日常生活、つまり人生の中で、お茶はもう切り離せない存在ということでしょうか。これからの茶藝を担う若い人材、という印象を受けました。
奇古堂の館主、沈甫翰氏は、「お茶はおもてなしの心」と言って、出張の翌日の午前中に急にお呼び立てしたにも関わらず、お茶を入れてお話をして下さいました。ここでは、小さい急須を使っているため、お茶を入れる前に茶葉をお湯で洗う必要はないそうです。急須が小さいので、洗茶をしなくても茶葉を蒸らせるそうです。お茶の葉も1回小さじ1杯程度で充分とのこと。高価だが良いお茶を使うので、1回の量が少なくて済むそうです。合理的です。
紫藤廬は、木造の伝統ある建物で、店内も広くゆったりとお茶とお菓子を楽しむことができます。お茶は茶筒単位で購入することになるので、茶葉が余ったら茶筒のまま持ち帰りできます。私はここで、お湯を沸かすガラスのポットと、アルコールランプ付きの炉を購入しました。中国茶は、沸騰したお湯でお茶を入れるので、テーブルの傍らで沸かせるポットがずっと欲しかったので、荷物になりそうでしたが、迷わず購入しました。他にもシックなデザインの急須や茶器、茶藝に関する本などが売られています。観光客がそれほど多いわけではなく、居心地が良いのでお勧めです。
日本の「茶道」のように、台湾でも「茶藝」は、伝統文化の1つです。私は茶道を何年かやっていましたが、私の先生は「茶室ではなく、リビングのテーブルでも抹茶は立てられるのだから、日常生活でお抹茶を飲みましょうね。」という考えの人でした。台湾で聞いた話では、日本の茶道は敷居が高いようなイメージを持たれていましたが、それは人それぞれ違うので、意外と似ているところもあるという印象を受けました。台湾でも、日本でも、毎日は慌ただしく、ゆっくりお茶を楽しむ時間は限られているかもしれませんが、お茶を飲みながら、家族や友達とコミュニケーションを取ろうとすることの大切さは同じようです。
北京語は、北京で会話するよりも聞き取りやすく、また伝わりやすかったです。本場北京では、アル化で語尾がまるまるので、聞き取りにくいためでしょうか。ここ3年は中国語はやっていなかったので、語学レベルが上がったためということは絶対にないですが。それから、中国文学専修卒業なのに、落ちこぼれだった私は、故宮博物館に行きませんでした、、、。私は観光よりも街が好きなのです,と言い訳をさせていただきます。
余談ですが、宿泊先のホテルは、なんとV6が台湾コンサートのため宿泊していました。ホテル内では見かけませんでしたが、空港で見かけました。日本人アイドルが台湾でコンサートをよくするそうですが、日本よりもチケットを入手しやすいそうで、日本からもファンが来るそうです。(片倉さん談)飛行機は羽田からチャイナエアラインが出ていますし、コンサートのついでにエステや観光、ショッピングを楽しめますね。
注)繰り返しますが内容は2001年当時のものです。
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