西安&敦煌1999年

<華清池>
兵馬俑と華清池は近いので、西安の東線ツアーとしてバスが出ているが、僕らは路線バスで移動することにした。兵馬俑の目の前に306、307路のバスが待っていた。バスはどうみても日本の昔のバスだった。大学時代を京都で過ごしていた幸之介は「これ、昔の京都の市バスだよ。」と懐かしがっていた。おそらく姉妹都市である京都市西安にゆずったのだろう。
華清池の入場料は30元(=390円)。チケットの写真は風光明媚な華清池である。水の色も美しく、ガイドブックにもその美しさを讃えてある。だが、実際の華清池は写真とは全然違う。まず水が汚い。まるで沼のような色をしている。何度来ても同じ色なので、いつもこうなんだと思う。しかも、池の中に高さ2mほどの半裸の楊貴妃像が立っている。こんなもの97年に来たときははなかった。中国らしいといえば中国らしいが、よくぞこんな悪趣味なものを歴史的遺跡に建てたものだと感心してしまう。かれこれ3000年以上にもなるこの温泉地は周王朝が別荘を営んだことにはじまる。唐時代玄宗皇帝楊貴妃と一緒にここで過ごし、その浴室が残されている。
弘法大師空海のお寺>
華清池から市街に帰る途中、幸之介がどうしても行ってみたいお寺があるという。その寺の名は「青龍寺」。おそらくほとんどの人は知らないであろう。事実、タクシーの運転手さんも知らなかった。私達が地図で場所を示すと運転手さんは必死になって道なき道を運転してそこまで連れてってくれた。このお寺は日本の真言宗の祖弘法大師空海が804年より当時の中国密教の第一人者恵果阿闍梨から2年間教えを受けた場所である。近年になって所在地が確認され、日本人の真言宗信者の手によって再建された。幸之介は弘法大師を心から尊敬している。だからここに来たいと言い出したのだ。ガイドブックには入場料は20元と書かれていたが、僕が購入すると8元だという。どうやら僕を中国人だと思ったらい。だが後ろの幸之介を見るとすぐに「20元」だと訂正して要求してきた。日本人には高いらしい。僕が学生証を見せて8元であることを主張しても、日本人はだめだと言われた。日本のお金で建ててもらったお寺なのに、日本人にはがめついらしい。お寺の中には空海記念堂があるだけで、なんでもない普通のお寺だった。それでも幸之介は尊敬する空海が2年間を過ごした場所に来てご満悦だった。
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