五大連池編

一時期よく飲んでた「ペリエ」。炭酸水。ハルビンには売ってないけど、その代わり「五大連池」というのがある。どこのスーパーにも必ず置いてあって、パッケージなんかペリエを意識してるっぽい。味の方は、サビっぽいっというか、鉄分豊富な感じで、あんま好きじゃない。けど、いつの間にやらカゴの中に入っているという。何故だ。どうやら、「五大連池」という名前に惚れているらしい。
これが商標じゃなくて、黒竜江省に実在する地名だと知ったのはマヌケにもわりと最近のことで、五つの湖が連なっているところから、この名前が付いたという。地図にしっかりと「五大連池」と書かれているのを見ると、どうにもこうにも行きたくて行きたくてしょうがなくて死にそうになった。そんな時、学校の先生から「五大連池は秋がいい」と聞いた。今、何月だ?10月。国慶節で一週間の休みだ。行くか?行くぞ!
そんなわけで、10月5日、同じく五大連池に憧憬を抱いている好兄弟二人をつのり、VCD、トイレ付きの豪華バスに乗り込んだ。水のおまけももらった。ひゃっほう!片道69元、北方の短い秋景色にみとれつつ、また、一体どんなところなのか期待に胸を膨らませ、6時間、バスに揺られ。。。揺られ。。。こんな田舎見たことないぞ。いやいや。五大連池は観光名所だ。中心部はきっと栄えているに違いない。しかし、何故ゆえ、運転手はブレーキをかける?
(青い青い空、高い高い空、空だけ見てりゃそれでいいのサ♪)
ヒューヒュー吹く木枯らしの中、そこかしこに錆びついた看板、寂れに寂れきった個人商店、夏はやってるかもしれないが今は閉まっているホテル、そんなものに囲まれ、たまに通る藁を満載した驢馬車に視線を落とし、我々三人の勇士はただただ、呆然と立ちつくすのみであった。。。
「腹減ったな。。。」誰かが言った。時計は13時半を過ぎている。「泊まるところも探さなきゃな。。。」「ああ。。。」「帰りのバスはどっから乗るんだろうな。。。」「ああ。。。」
我々はとりあえず、宿の確保とバスの確認という任務に就くことにした。宿はわりとすぐに見つかった。バスの駅−−−時計台の壊れた、やけにだだっ広い、子供の頃テレビで見た昔の中国の駅そっくり−−−も見つかったし、時間も確認した。後はどうするかだ。どんなに小さくても旅行会社の一つはあるだろうと見込んでいたがこの田舎町のどこにあるんだ。途方に暮れた。どうすりゃいいんだ。
そんな時、オフシーズンの観光客目当てのバンが、しょぼくれた我々を拾ってくれた。二日で200元ということで話はまとまり、開口一番、「なんか食べさせて!」連れて行かれた店は、やはりさびれていたが、料理は格外にうまかった。黒竜江の10月は、秋とは言え、かなり寒いのだ。体も温まった。満腹し、準備も整い、五大連池の観光は、到着して2時間後、ようやく始まった。(五大連池編つづく)
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