洛陽2001年5月3日(木)(完)

朝起きて、火車票を予約しておいたカウンターに行く。9時半に行ったけど、今切符を
買いに行ったところだという。もし帰りも硬座だったりしたらどうしよう?不安に思い
つつ時間つぶしにご飯を食べに行く。30分ほどして戻ってくると、ちゃんと硬臥の火車
票が取れていた。よかった。これで心置きなく龍門石窟にいける。

洛陽にやってくる外国人の目的は龍門石窟を見ることだろう。敦煌莫高窟、大同の雲
崗石窟と並ぶ中国三大石窟であり、世界遺産にも登録されている。造営が開始されたの
は493年前後の北魏時代からだという。莫高窟より100年ほど後からということになる
が、それでも1500年以上の歴史をもつ石窟なのだ。

僕らは昨日と同じ過ちは繰り返さないように、龍門石窟にはタクシーで行った。タク
シーだと30分くらいだったろうか。値段も35元ほどだった。僕らはそのタクシーを150元
で包車(チャーター)し、待っててもらうことにした。

龍門石窟はとにかく広かった。駐車場から門口まで1km近くあるだろうか。2元で乗れ
る送迎車ががあるくらいだ。それに連休ということもあって人が多い!人、人、
人...。どこを見ても人である。仏像の数より人民の数のほうが多そうだ。

門票(入場券)は一人45元だった。U&M同学は学生なので半額だった。5月とは思えない
強い日差しの中で僕らは人民とともに見学をはじめた。龍門石窟は「伊河」という川沿
いにあり、風が吹くととても涼しい。「伊河」をはさんで西側に蜂の巣のようにたくさ
んの穴があいた石窟の山がある。人が屈まないと入れないくらいの小さな石窟もあれ
ば、盧舎那仏のような巨大な石造もある。宋代まで、歴代の皇帝、貴族、豪商らの寄進
で造営された石窟は2354窟、仏塔40余基、仏像10万体に上るらしい。でもどれ
も損傷が酷い。

驚いたのは敦煌莫高窟とちがってどの窟も見学自由なことだ。保存状態が良いとは決
していえないが、どうしてここまで自由なのだろうか?人民は手すりを乗り越えて、窟
に入り写真を撮っている。世界遺産なのに...。

どの仏像も日本の奈良、平安時代の仏像と似ている印象を受けた。
一番見ごたえがあるのは、則天武后をモデルにしたという巨大な廬舎那大仏だった。龍
門山の真ん中あたりに彫られた廬舎那大仏像は、高さが17.4mあり、両脇には、大
きな菩薩、天王、仁王が並んでいた。かつては、これらの作品全体が大きな建物で覆わ
れていた寺院だったらしい。唐の高宗の勅願寺で、造営には皇后の化粧料を当て3年
9ヶ月をかけたそうだ。

龍門石窟は1km以上続いていた。僕らは途中でアイスなどを食べながら、ひたすら見学し
た。あまりに長いので、途中で引き返す中国人も多く、行けば行くほど人は減ってい
た。反対側の門から外に出て、橋を渡って川向こうの道を歩いて駐車場に戻った。

(Dさんの連載は最終回です。2001年から2002年のメルマガに掲載しました)