カルフール北京創益佳店(2002年)

カルフールは1995年に中国大陸への出店を開始しました。
1997年頃から出店ペースが速まり、2002年現在中国国内で24店舗が営業しています。
今回訪れた北京創益佳店(朝陽区北三環路乙6号)は、カルフールの第一号店。
立地は交通至便な幹線道路に面しており、郊外型の店ではありません。
建物は1階が衣類・雑貨等、2階が食品で、オートウォークでつながっている。
テナントにはアクセサリー、衣料品等の小規模なテナントや、
シシカバブ(おいしかった)・うどんなどの売店がいくつか入っています。
専用駐車場が道路を挟んで向かい側にあります。
客層は、家族連れ、若いカップル、学生同士、おばあちゃん等様々。
日本の事情にも詳しい北京っ子の劉さんご夫婦に評判を伺うと、
カルフールは北京の人が普通に日常に買い物に行く場所。
自分達はヨーカドー(華堂)の方が好きだからあまり行ったことはないけどね、
とのこと。
台湾と同様、北京でもカルフールは人々の生活にしっかりと入り込んでいました。
では、3月23日(土曜日)午後2時のストアチェックをどうぞ。
※1元=16円のレートです。

店舗の前は買い物を終えた人、これから買い物に向かう人、
おしゃべりしている人たちでにぎわっています。みんな楽しそうな表情をしています。
カルフールの中国でのスローガンは「開心購物家楽福」、
つまり「カルフールで楽しい買い物を」。価格訴求というよりも、
楽しい買い物経験を提供するというはっきりしたスタンスのようです
それが実行され、買い物客に伝わっているようです。
台湾のスローガン「天天都便宜」(Everyday Low Price)とは違っていることに
注目してください。

店舗へ入るとやはり入り口に手荷物預かり所(無料)があります。
保安上、ここで大きな手提げ袋や買い物袋を持っている人は
それらを預けてからでないと中には入れません。
ただ、前回の台湾と違って荷物チェックはそれほど厳しくありません。
リュック式のカバンはOKのようで、他の人も預けていないので、
そのまま店内に入りました。
店内に入るとすぐに、カートと買い物カゴがあります。
これも台湾と違い、カートは無料で使用できます。
また、カゴも目につきやすいように大量に置かれています。
カートとカゴの使用率は半々という感じです。

それにしても、、、土曜の昼下がりという時間帯のためか、、、
広い店内は沢山の人でごった返しています。
衣類・日雑・家電・食品、どのコーナーも満遍なく込み合っています。
唯一閑散としていたのが2Fの酒類売り場。
広いスペースを取っているのに人がいません。
ローラーブレードの若い男性店員を1人確認しましたが、
この店内では動くに動けずという感じで、どんな役割を負っているのかやや不明です。
それから、店内を自転車で移動している男性店員を数人見かけました。
管理職でしょうか?彼らの役割も謎です。

レジは2Fにありますが、2列配置でどの列も3人くらいずつ待っています。
皆、それほど大量のまとめ買いはしていないようですが、
平均2-3袋くらいの買い物袋を下げて帰っているようでした。
学生同士で休日のおやつ(ソフトドリンクとスナック菓子)、
VCDを買っていく人も見かけます。
レジではカルフールのロゴ入りのビニール袋(無料)に商品を入れてくれました。
カルフール中国全店では、購入後15日以内であれば、
商品の品質に不満があったり気が変わったりした場合でも、
返金してもらえるという権利を保証しています。
これも台湾では、他店より高い商品があればいくつかの条件はあるが、
差額を返金するという「最低価格保証」であったことと比較すると、
非常に興味深いです。

オートウォークで2Fに着くとまず目に入ったのがケーキ、クッキー等お菓子の数々。
そのすぐ隣には百種類は余裕にあるお惣菜の数々。
いろいろな種類や材料から作られた前菜、おかず、肉料理、キムチなどが並んでいま
す。
肉料理は、豚足、生肉、ソーセージ、ローストチキンは2台のグリルで焼かれて並べられ
ています。
沢山の試食が並んでいて、みんな試すことができます。
その隣にはパンコーナーがあり、フランスパン、菓子パン、食パンなどが並んでいま
す。後ろの方でパンを焼いているのが見え、いい匂いが漂っています。
フルーツ、野菜共に種類も豊富。
中国ではもともと「g単位」で食品を買う習慣があるので、
カルフールの特徴の1つ、「量り売り」がうまく機能していました。
食品コーナーでお惣菜の次に印象的だったのが、米と豆、ドライフルーツの量り売り。
米は白米でも何種類か産地の違うものが並べられていて、
豆等を混ぜた色とりどりの「八宝米」、黒米等が樽に入って置かれています。
これらを好きなくらい袋に入れて、計量してもらい、価格のシールを貼ってもらい、
レジで精算する仕組みです。計量コーナーは大分混みあっていました。

中央部分には大量の冷凍食品が並んでいます。
沢山の種類の水餃子、パオズ、マントウ等、量り売りで売られています。
土曜日だからかどうかわかりませんが、冷凍食品を購入する人は見かけませんでした。
週末くらい冷凍食品のお世話にはなりたくないのでしょうね。
その他、牛乳、豆乳、ヨーグルト等乳製品、飲料、菓子、嗜好品類が並んでいます。
外資系メーカーではネスレ(雀巣)が目立ちますが、その他はほとんど国産です。
もともと食材が豊富な国ですが、
年々加工やパッケージの技術が驚くほど向上しています。
セールス・プロモーションは、VCDや粗品のべた付けが多く見られました。"

日雑、化粧品類は1Fにあります。国産メーカーの他に、
外資ではP&G、Johnson&Johnson(強生)リーバもありますが、
やはり花王がダントツでしょう。
どこの国でもそうだと思いますが、ヘアケアコーナーは若い女性達でいっぱいです。
商品力で売っているようで、セールスプロモーションはほとんど見られませんでした。
ただ、驚いたのは花王のコンシューマーインサイトです。
北京は去年12月から雨が降っていないというほどの超乾燥気候。
触るものどれも静電気が走ります。
髪を梳かしても静電気のためスタイルが決まらないどころか、切れ毛になります。
そこで花王が雑誌広告で訴求しているのが、
リーゼスタイリングミストを使うと静電気防止にもなって髪が痛まないこと。
売れているかどうかは不明ですが、店舗でも商品を見かけました。
どこかの外資系(私が所属する会社)は、
本国の商品と全く同じものをそのまま売っているだけなので、
店頭でも全く魅力を感じませんでしたが、花王は徹底して消費者を調べていますね。
劉夫妻も「日本のものは品質が良い。他のスーパーで置いていない花王の製品がヨーカ
ドーには必ずあるので(紙オムツ等)ヨーカドーが好き」と言っていました。
中国で花王がグローバル企業と対等に戦っているのを見て、
ついつい共感してしまいました。

ちょっと日雑の分野に関して劉夫妻にインタビューしてみました。
北京ではどんどんマンションタイプの家に移行していて、床はフローリングが
多いとのこと。半数は家の中でも土足なので、床掃除はモップで水拭きが一般的。
空拭きはしないとのこと。だからクイックルワイパーは売っていないのですね。
奥さんは今育児休暇中で家にいるので、料理は毎日。
4品くらいはおかずを作るかな。油料理をするので、液体の食器洗い洗剤を使うが、
国産の方が人気とのこと。外資メーカーのものは油汚れに弱いとのこと。
最近は手あれを気にする人が増え、
国産も「手に優しい」付加価値をつけているとのこと。

ここ数年来の悩みは「ゴキブリ」。
「昔はいなかったと思うんだけど、、、」とのこと。
確かに緯度的には寒い地方に入るので、ゴキブリは生息しにくいと思うが、
最近は都市化のため住環境や食生活にも変化があり、
ゴキブリが増えてきたのかもしれない。
私も夏に北京に短期留学したことがありますが、ボロイ宿舎だったからか
ゴキブリはいませんでしたね。
そこで劉さんが毎回お土産に希望するのが「ごきぶりホイホイ」。
「中国のは効果がない。日本製は沢山取れて効果があるし、毒餌タイプも良く効いて、
その後しばらく出てこなくなる」とのこと。
ただ、「殺虫剤タイプや、バルサンタイプは赤ちゃんがいるので、吸入したりしたら
心配だから嫌。」とのこと。
確かにカルフールでも、エアゾールタイプしかなく、
季節柄売れている様子はなかった。

広い店内いっぱいに魅力的なものがあふれている。これが今回の印象です。
実は約6年ぶりの北京でしたが、その頃とは人々の印象が全く違っています。
カルフールも、外資メーカーの品物に頼っているわけではなく、
国産メーカーの競争力も商品から伝わってきました。
買い物客も、若い人だけではなく、おばあちゃんも結構見かけたので、
地元で馴染んでいるようです。カルフールは特別な日の買い物というわけではなく、
日常的に利用されているそうです。
それにしても、お客様の表情が生き生きしていたのには驚きました。
私もストアチェックどころではなく、店内を十分楽しみました。

どうして同じアジアなのに、日本のカルフールは不振とされているのでしょう?
カルフール幕張店で見たスローガンは「賢いお買い物の楽園」。
価格訴求と、娯楽性という正反対のことが1つのスローガンで語られています。
確かに開店当時には、価格で勝負していて、
幕張一体が価格競争していたという記事を読んだことがあります。
一方で、テナントにユニクロ組曲など話題性のある店舗をそろえ、
形では娯楽を提供しています。高級イメージは、レジでの袋詰だったようでしたが、
不満爆発により中止。
「賢いお買い物」か「お買い物の楽園」テーマをどちらかに絞るべきではなかったので
しょうか。

日本との比較はともかく、カルフール北京創益佳店は、楽しいハイパーマーケットとし
て、北京っ子に愛されているようでした。(カルフール編つづく)
(2002年にメルマガに掲載したものです)

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