11月24日(土)珍しいサウンド版5作品DVD上映会のお知らせ(現代中国映画上映会)

今月の定期上映会は、11月24日(土)に、サイレントとトーキーの中間に位置
し数年間しか作成されなかった『サウンド版』作品をDVD上映します。
上映作は、《漁光曲》《息子は英雄》《大いなる路》《春蚕》《新女性》の5作品
です。いずれも日本語字幕がつきます。

上映会場は文京シビックセンターの3階にあるシビックホール会議室です。
この機会をお見逃しないようご覧下さい。

なお、12月の上映会は、その一週間後の12月1日(土)にサイレント映画6作
品をDVD上映します。これにつきましては改めてご案内します。

皆様のご来場をお待ち申し上げております。

現代中国映画上映会 gentyuei@parkcity.ne.jp
http://www1.parkcity.ne.jp/gentyuei/

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★★★第485回現代中国映画上映会(DVD上映会)★★★
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●上映作品:劇映画《漁光曲》
       1934年/聯華影業公司/白黒/スタンダード/56分(部分欠落あり)
       サウンド版/DVD/日本語字幕
       原題◎漁光曲
       監督◎蔡楚生(ツァイ・チューシェン)
       脚本◎蔡楚生(ツァイ・チューシェン)
       撮影◎周克(ヂョウ・クゥ)
       音楽◎聶耳(ニエ・アル)、任光(レン・グァン)
       主演◎王人美(ワン・レンメイ)、羅朋(ルオ・ポン)
          韓蘭根(ハン・ランゲン)、袁叢美(ユェン・ツォンメイ)
          湯天綉(タン・ティェンシゥ)
      劇映画《息子は英雄》
       1929年/上海長城画片公司/白黒/スタンダード/71分
       サウンド版(後入れ)/DVD/日本語字幕
       原題◎児子英雄(別題◎怕老婆)
       監督◎楊小仲(ヤン・シァオヂョン)
       脚本◎陳趾青(チェン・ヂーチン)
       撮影◎李文光(リー・ウェングァン)
       主演◎張哲紱(ヂャン・ヂェードゥ)、劉継群(リゥ・ヂーチュィン)
          許静珍(シュィ・ヂンヂェン)、高威廳(ガオ・ウェイティン)
          洪警鈴(ホン・ヂンリン)、賀志剛(フー・ヂーガン)
      劇映画《大いなる路》
       1934年/聯華影業公司/白黒/スタンダード/103分/サウンド
       DVD/日本語字幕
       原題◎大路
       監督◎孫瑜(スン・ユィ)
       脚本◎孫瑜(スン・ユィ)
       撮影◎裘逸葦(チゥ・イールー)
       音楽◎聶耳(ニェ・アル)
       主演◎金焔(ヂン・イェン)、陳燕燕(チェン・イェンイェン)
          黎莉莉(リー・リーリー)、羅朋(ルォ・ポン)
          鄭君里(ヂェン・ヂュィンリー)、韓蘭根(ハン・ランゲン)
      劇映画《春蚕》(はるご)
       1933年/明星影片公司/白黒/スタンダード/94分/サウンド
       DVD/日本語字幕
       原題◎春蚕
       原作◎茅盾『春蚕』
       監督◎程歩高(チェン・ブーガオ)
       脚本◎夏衍(シア・イェン)
       撮影◎王士珍(ワン・シーヂェン)
       主演◎肖英(シァオ・イン)、嚴月嫻(イェン・ユエシエン)
          龔稼農(ゴン・ヂアノン)、艾霞(アイ・シア)
          鄭小秋(ヂェン・シァオチゥ)
      劇映画《新女性》
       1934年/聯華影業公司/白黒/スタンダード/109分/サウンド
       DVD/日本語字幕
       原題◎新女性
       監督◎蔡楚生(ツァイ・チューシェン)
       脚本◎孫師毅(スン・シーイー)
       撮影◎周達明(ヂョウ・ダーミン)
       音楽◎聶耳(ニェ・アル)
       主演◎阮玲玉(ルァン・リンユィ)、鄭君里(ヂェン・ヂュィンリー)
          王乃東(ワン・ナイドン)、王黙秋(ワン・モーチゥ)
●上映日時:11月24日(土) ※開場は各回開始の10分前
        10:30 漁光曲
        12:00 息子は英雄
        13:40 大いなる路
        16:00 春蚕
        18:30 新女性
●上映会場:シビックホール会議室
          (文京区役所がある文京シビックセンター3F)
       東京メトロ丸ノ内線南北線 後楽園駅 直結
       都営地下鉄三田線大江戸線 春日駅 直結
       地図: http://www1.parkcity.ne.jp/gentyuei/civic.htm
●会 場 費:700円(会員=1作品につき)
      非会員・期限切れの方は要同時入会
●入 会 金:600円(一般会員、同時入会可、有効期間1年)
      8100円(フリーパス会員、同時入会可、有効期間1年)


※DVD上映会では会員の方でも会員証をお忘れの場合は臨時に再入会していただ
 きます(後日返金可)
※フリーパス会員はDVD上映会場でのみ例外的に受け付けます
※DVD上映会では非会員の方でご入会いただけない方はご覧いただけません


《漁光曲》
 極貧で生きる沿岸漁民は発展から取り残され、資本家が導入した近代漁法の「と
りこぼし」で生きるしかない。
 貧しい漁民兄妹は生きる道を求めて上海に出るが、そこは無学な田舎者が生きて
いけるところではなかった…。

 挿入歌『漁光曲』はもの悲しいメロディと共に今に伝えられる名曲である。
 本作は、中国映画として初めて国際映画祭(モスクワ国際映画祭)で賞を獲得し
た記念すべきものである。


《息子は英雄》
 胡さんは妻に先立たれてしまった。一人息子を抱え後妻をもらったが、これが大
変な鬼嫁だった。息子は容赦なくいじめられ、胡さんも全く逆らえない。
 実は妻にはヤクザの愛人がいた。近所の金持ちの家でパーティーが開かれるとい
う情報を男に教え、男は侵入して金持ちから宝石を強奪した。しかし、逃げるとこ
ろを見つかってしまい人を刺して逃げた。逃げ込んだ先は隣の胡さんの家。胡さん
は犯人に間違えられ警察に捕まってしまった。
 そこで息子は一計を案じ、男から宝石を取り返して父の冤罪を晴らそうと動き出
したのだった…。


《大いなる路》
 東北地方の戦火から逃れ、父は道路人夫として働いて子供を育てた。20年経ち、
子供はいつしか大きくなって道路工事現場で働いていた。一緒に働く男たちは仲間
として強い友情に結ばれていた。現場の近くには食堂があり、そこの看板娘はみん
なのアイドルだった。
 弱い者にやさしく、地元のボスに反抗の態度を見せる男たちはボスから目をつけ
られていた。食堂ではボスの手下が男たちを威圧する。男たちは黙って道路工事を
続ける。そんな男たちを丁香と茉莉は想うのだった。
 兵隊がやってきて敵が近くまで来ていると伝えた。ボスのところへ敵のスパイが
やって来て道路工事を遅らせるよう命令した。ボスは男たちを宴会に誘い、小切手
を差し出して自分に従うよう伝える。しかし、男たちはその要求をはねつける。す
ると、男たちはボスの家の地下牢に捕らえられてしまった。
 帰らない男たちを心配した丁香と茉莉はボスの家に行き、巧みな方法で男たちを
救い出した。男たちはボスの手下たちを倒し、道路工事に戻るのだった。しかし、
そこへ敵の飛行機が現れ…。

 日本の東北侵略を念頭に置き、抽象的な描き方で抵抗を鼓舞した作品である。中
国国歌『義勇軍進行曲』を作曲したことで有名な聶耳の手による主題歌『大路歌』
は、その力強い調子で日本に抵抗する中国人を励ます歌となった。


《春蚕》
 江南の農民は春先に蚕を飼い、繭を商社に売って生活する。糸の品質がいいとい
う日本産の蚕を仕入れた隣人は蚕を全滅させてしまった。しかし、中国在来種の繭
は元気だ。エサが足りないので借金までして桑の葉仕入れ、近年にない立派な繭
が出来上がった。在来種の方が高く売れると聞いていたのだが、実際は逆だった。
しかも、上海の方で戦争があり繭商社が閉鎖されている。急がないと繭を破って成
虫が出てくる。仕方なく遠くまで出かけ安値で繭を売ろうとするが買いたたかれ借
金分にもならなかった…。

 日本産の蚕と絹糸、レーヨンの流入と戦乱に翻弄される江南の農民の姿を描いた
茅盾原作小説の映画化作品。


《新女性》
 韋明はピアノを教えるインテリ女性。出版社の余海涛と知り合った彼女は書き上
げた小説を見せた。余海涛は著者が女性であることを強調して売り出すことを提案
した。女性が小説を書くのはまだ考えられなかったからだ。
 学校で音楽の授業が削減され、韋明は失業した。しかも、店からはピアノ代の支
払いを迫られる。田舎から出てきた娘が風邪をこじらせてしまい、入院しないと命
の保証ができないと医者は言う。韋明は仕方なく出版社に原稿料の前借りを頼むが
断られてしまう。最後の手段として男と一夜を共にして金を工面しようとした。し
かし、待っていたのは学校の理事長だった。
 理事長は韋明のことを売春婦だと誹謗中傷し、それを聞きつけた新聞記者は新進
気鋭の女流作家・韋明が実は売春婦だったとセンセーショナルに書きたてた…。

 1935年、阮玲玉は次々に書き立てられる無責任なゴシップ新聞の報道に抗議する
かのような自殺を遂げた。本作は、彼女の自死を予告するような内容の作品である。
音楽は中国国歌の作曲者である聶耳が担当している。


※スチール写真などは次をご覧下さい。
http://www1.parkcity.ne.jp/gentyuei/future.htm#20121124


http://homepage3.nifty.com/kamakurakoka/