雲南旅行記

skさんからこの年末年始の雲南旅行記をいただきました!
skさん、ありがとうございます。
今回は西双版納です。

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雲南省の南、西双版納(シーサンパンナ)に来ました。

ついた空港には真昼間なのにバスもメータータクシーも見当たらず。仕方なく、
声をかけてきた女性の白タクさんにホテルのたくさんあるところまで案内しても
らいました。
いい人だったので、西双版納での3日間の移動をすべて彼女にお願いすること
にしました(今回は時間をカネで買う旅なんで)。

行きたいところといっても見所の多い西双版納、まずは彼女がお勧めというとこ
ろに勝手に連れて行ってもらうことにしました。

いくつか、少数民族園のような場所に行きました。
もともと彼らの集住する山林地域にかぶせるように「入口」が作ってあり、あれよ
あれよという間に入園料を払わされます。
中に入ると本当に人々が住んでいる家々もあるのですが、手前には新しく作っ
た集落施設があり、民族衣装を着た人々が生活の再現や舞踊などを見せてくれ
ます。

麗江や大理でもそうですが、観光は少数民族の人たちの重要な収入源になって
います。
ほとんどは農民ですが、なるほど、農作業は父ちゃんに任せて、お母ちゃんや娘
さんはここで観光客相手に踊っているほうがはるかにお金になるのかもしれませ
ん。
ちなみにどこも入園料はわが運転手さんの3日分の稼ぎぐらいですから、農家の
人にとっては下手するとひと月分以上だと思います。

さて、ジノー族の園では若い「ハニカミ姫」がガイドをしてくれました。

昔、留学していたとき、同じ学校の日本人男子留学生が雲南旅行に行き、そのま
少数民族の少女と結婚して日本に連れ帰り、みんな大騒ぎしたことを思い出し
ました。
上海などで自己主張の強い漢族の女性に囲まれていると、少し南方系の顔立ち
で控えめの少数民族の女性たちがかわいらしく映るのは確かなのでしょう(あ、
あくまでも好みの問題ですよ)。

ジノー族は、山間部でゴムの木とお茶の栽培で生計を立てています。高床式の木
造の家で一族が集まって暮らすのが伝統ですが、お金ができると新しい家を建て
て独立していくそうです。

村のほぼ全戸の生活は安定してきているそうですが、ここでも小さな格差があって、
「ああいうのはお金持ちの家」とハニカミちゃんが指差したのは、コンクリート造りの
現代風の家で、窓もついています。そういうのも何軒かポツポツと見えました。

その後に立ち寄ったタイ族の一般家庭などもそうでしたが、みな仕切りのない小屋
のような簡素な家の中で、置いてある家電はまずテレビとDVDプレーヤー。女性の
家事を助ける洗濯機や冷蔵庫などは見当たりませんでした。

そして、固定電話が全戸に普及する以前に、みんな携帯を持っていて、民族ショー
の合間には一斉に取り出しておしゃべりです…
中国には56の少数民族がいますが、
厳密に言えばさらに多くの民族が存在しているようです。

今回私も初めて知ったのですが、政府によって少数民族と認められるためには
(認められるといろいろな「優遇」措置がある)、5千人以上の人口が確認される
必要があるとのこと。
300人とか1000人の部族集落はたくさんあるし、国境付近にはビルマラオス
とを行き来している国籍など関係ない人たちもいます。考
えてみたら当たり前ですけどね。

ジノー族は、中国によって1950年代に「発見」され79年に「認定」された最小単位
で最後の少数民族、とハニカミちゃんは誇らしげに話します。

さて、そのままジャングルを進んでいくと、いきなり木の上に小さな小屋があり、
そこに腰布だけつけた男の子が見下ろしていました。

「あれは名前もない部族です」とハニカミちゃん。
「え、本当にほんとにあそこに住んでいるの?」とバカな質問をしたつもりだった
のに、「はい、そうです。彼らは木の上に住み、人民元も持っていないので、芸を
見て面白かったら、彼らにタバコを買ってあげると喜びます」
(横にはなぜかタバコ売りが)。

ほかにもラオスから来た首長族の女性とか、動物の血のゼリーを振舞う部族とか、
そういう人たちもただ座って観光客を見下ろしていました。

まあ、本当の住処はどこか別の場所だとしても、最小の少数民族を見せる場で、
さらに少数の部族が見世物的存在になる空間が作られていることに、軽くめまい
がしました。まさにオリエンタリズムの中のオリエンタリズム

これはジノー族の意図ではないでしょう。
こうしたことを観光客が喜ぶと踏んだ政府の目論見です(国家AAAA級観光地と
書いてありましたから)。確かに中国人観光客は大喜び、それを見て写真まで撮
ってしまう私も私だし、それで彼らの生活が助かっていそうなところもはがゆいけ
れど。

ついつい気になって、「学校に行けてるの」などと質問を続けます。
「いいえ、普通語(北京語)も話せません」。
そりゃそうだ、中国人の戸籍に登録されてないんだもん。
2001年頃の私の調査では、中国では全国の基礎教育普及率は90%以上でした
が、あくまで統計に載ってるぶんですからね。

ところでハニカミちゃんは「李○○」という氏名でしたが、もともとジノー族は出生時
に名前しかつけず、漢族姓の「李」は学校に上がったときに先生がつけたもので、
同級生もみんなそんな感じなのだそうです。

いろいろ驚きながら出口まで来ると、彼女はアンケート表を差し出しました。

なんとその質問項目にも「ガイドの普通語はどうでしたか?」というものが。
スチュワーデス目指して英語を勉強しよう!ならぬ、
「普通語学んでガイドさんになろう!」…こうして少数民族の漢化は進んでいきます。

今は雲南でも、コーヒーを作り始めているようです。
カフェイン中毒の私は、今まで中国移動中だけはあきらめてネスカフェに砂糖と
パウダー入りの「3合1」というのを持ち歩いていたのに、今回の旅の途中では、
思い立ったら割とすぐに本格的なおいしいコーヒーを飲むことができました。
雲南にはまだスタバはありませんが、むしろ来なくてよいと思います。
(ちなみに中国のスタバは一部フェアトレードとして雲南コーヒーを仕入れていると
上海の友人から聞きました。)

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2007年ごろの内容です

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