身体不如意ということ

友人の依頼で大連に気功治療に行ったことがあります。 11年ほど前です。

記憶ですが、張しよう(漢字は忘れました。ピンイン-中国語の発音記号-はZHANG/ZHIXIANGです。)先生を師とする元極法と言われるもので、当時民放テレビのお正月番組(だったと思います)で貫頂(頭頂部から気を注ぐ)で病人たちの症状が改善するさまが放送されたとのことで、難病患者の間でブームになったのです。

脊髄損傷の友人から、張先生の治療ツアーに参加するから随行してほしいと連絡がありました。
奥さんからも「私が行っても役に立たないし、(私と一緒のほうが)本人の気が晴れるから」と頼まれました。

私自身、自分の母の病状(原発性胆汁性肝硬変という難病)が進行していて、お盆までもたないと医者に言われた直後で滅入っていました(友人たちにはそのことは話していません)。
当時、漢方系の商社に在籍しており、同僚の中医学の先生に聞いたりして、治療そのものはまがいものではない、と判断はしていました。でも、脊髄損傷までもが回復するとは考えにくかったのです。
迷っていましたが、
当時は今より中国語は話せましたから何か役には立てるだろう、と一緒に行くことにしました。

ツアーの参加者は、友人のような脊髄損傷の人たちや、 脳性麻痺(先天性のものや、車に放置したことによるものなどさまざまな要因)の子供とその母親、知的障害,悪性腫瘍、などさまざまな障害、難病を抱えた人とその介添え人ばかり40組以上いました。

スケジュールは講義や、トレーニング、最終日近くに張先生が登場し、参加者に貫頂(気を送る)をする、というクライマックスでした。 友人もトレーニングや貫頂で少し感覚が戻ったということを話していました。

友人は初めて来た中国に興味しんしんでした。 私が教えたいいかげんな中国語でレストランの小姐に 君はかわいい、うちのお奥さんはもっともかわいい、などと 話しかけて、いいわね-などと笑われていました。
遠い大陸でも奥さんへの忠誠は忘れませんでした。もちろん事故後のご家族の献身を考えれば、当然でしょうが・・

で、外を見たいというので、連れて行くことに。
老虎灘酒店(ホテル)は町の中心部から離れていて いまはだいぶ開発されているようですが当時は漁村でした。
ホテルは小高い丘のようになっていて(横浜プリンスホテルのような感じ)玄関から100m下まで急坂です。
車椅子を後ろ向きにして、坂を下りたのですが、 そのとき誰かが話しかけてきました。
ジェスチャーが必要だったので 私は体で車椅子を支えて、手を離しました。
すると、友人がつっかい棒をはずされたように感じたのか おーい、と声を出しました。
私は体で支えているので大丈夫だと思っていたのですが 友人の、恐怖に引きつった顔はいまでも忘れません。
申し訳ないことをしました。

また、奥さんはじめ家族の気苦労が絶えないことも今回の旅行でよくわかりました。

札幌で車椅子の方が地下鉄の踊り場へ転落してなくなったニュースを聞いて、そのときのことを思い出しました。