北京で中医学を勉強する 4

午前中の病院実習は八時から始まるのですが、患者さんは七時半に来ますから、実際は七時半から始まります。終わる時間は十一時までですが、やはり臨床の実習なので、患者さんの診察が終わるまでということで十二時半ぐらいまでかかります。しかし十一時半ぐらいになると、先生は「もう終わってもいい」と言ってくれます。私たちが実習している病院は普通の病院です。患者さんは普通の中国人です。診察室にはベットが五台ありますが、日本とは違い間にカーテンなどの仕切りなどはありません。針など、消毒が徹底しているとはいえません。もちろん、使っている針は使い捨てではないのです。患者さんが自分専用の針を持ってくることもあります。しかし、この様な患者さんは、本当に少ないです。外国人の患者さんは、だいたい、新しい針を持参し、治療が終わったら、その針を捨てる人が多いです。
午前中の実習では、主に先生の横で指導を受けます。患者さんが来た時に、先生から、病態を教えてくれて、その後治療をするというスタイルです。私が針を打つ時は、先生にどこどこに針を打つようにと指導を受けて、そこの場所に針を打ちます。時間がたつにつれて、同じ患者さんの再診なら自分で治療し始めます。自分たちが治療している時や治療し終わった時に、先生が来てチェックをするというかんじです。初診患者さんの時は、先生が患者さんから症状を聞いて、その後自分たちが患者さんに質問したい事があれば、更に質問するという形です。そして、顔色、舌などをみていろいろと先生が私たちに説明してくれます。わからなかったら、質問します。脈などを触る時は、先生が片方の脈を触っている時に、私たちはもう片方の脈を触ってみています。脈は各自感じ方が違うので、私たちは脈を触った後すぐどんな脈かをノートに書いて、そのノートを先生にチェックしてもらいます。それから、患者さんを治療し始めます。この時も、先生に言われたところに針を打っていくようなスタイルです。自分たちがなぜ、このツボを使ったのか分からなかったら、治療後先生に質問します。
午後は理論の授業です。ほとんどの内容は一度、日本で学んだ事のあるものばかりです。私たちのクラスは、高級班(研修班)なので、更に応用化したことを教わりました。先生方の経験などを話してくれたりもしました。それに対して、質問をするという授業です。授業の中で、先生がいくつか質問を出し、われわれが答えると、どうしてその答えにしたのかという理由、解釈を述べさせられたりもします。講義でもたくさんのことを学びましたが、私が中国に来たのはなんといっても日本では見られない治療法を見たいということです。実習の時に私が印象に残っている患者さんはたくさんいます。まず違う病院で三叉神経痛と言われ、痛み止めを大量に飲んでいたために中毒になり、私たちが研修している病院に来た人。私は、この患者さんを見た時、本当に鍼灸の適応なのかと疑問に思いましたが、先生は躊躇無く鍼灸治療を開始しました。置針をしている間ずっと、この患者さんは、ぶつぶつと何かを言ってました。(それは禁断症状のようでしたが・・・・)。鍼灸治療はずっと続けられました。この患者さんは、毎日来ていましたが、その後予後がよくなったためか、一週間に三回と徐々に減っていき、今は治療しにきていません(つづく)

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