幸福の黄色いハンカチ

ちょっと古い話になりますが先々週、夕張に行ってきました。学生時代の就職活動の帰りに鉄道で1回行ったきりなのでほぼ24年ぶりになります。あちらこちら行ったのですが、最初に行ったのはなぜか「幸福の黄色いハンカチ」(1977年山田洋次監督の映画)のロケ地。高倉健倍賞千恵子演じる夫婦が暮らした五軒長屋は「想い出ひろば」として公開されています。中はロケで使った車(軟弱若者役の武田鉄也が乗っていたファミリア)や写真、さらには訪問者の「幸せへの願い」が書かれた膨大な数の黄色い絵馬が貼られています。映画では周りにたくさんの住宅がありましたが、今ではこの五軒長屋ともう1軒あるのみです。考えてみるとこの映画を劇場で観たことはなくテレビの「ながら視聴」をした程度。その割に筋や場面を思い出せるのは映画自体の力ももちろん、20年前に中国で滞在していたとき、北京でも旅の寝台列車でも初対面の中国人とよく日本の映画の話になって、この映画のこともよく話に出てきたことが大きいです。そのたびにつたない中国語と筆談で説明するためにあらすじを反芻することになり、すっかり何度も観た気になっていたのでした。改革開放で日本の様子とともに映画がさかんに上映されたことが当時の中国のひとたちに日本人への肯定的な印象をもたらしたのも事実。民主国家でも独裁国家でも国の舵取りをするのは畢竟のところほんの一握り層にすぎません。政治や経済の外枠に置かれた古典的な意味での文化交流こそが根っこのところで互いの理解を深めるということと、人間を人間らしく描いた映画が受け入れられる社会の先行きに一種の安心感も持ったのでした
(21日,22日の日記はお休みします 仕事は11時から通常通りです。22日は中秋節のためですが仕事は通常通りです)

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