《孔雀〜我が家の風景》(現代中国映画上映会)

次回の定期上映会は、9月25日(土)に、ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した顧長衛監督作品《孔雀〜我が家の風景》を上映します。1970年代末期の華北・安陽の田舎町に住む高さん一家5人の生活を描いた佳作です。主演の張静初の実質的デビュー作で、自転車の後部に自作のパラシュートをつけて走り回る姿は強烈なインパクトを残しました。上映会場は文京シビックセンターの2階にあるシビックホール(小ホール)です。皆様のご来場をお待ち申し上げております。現代中国映画上映会
●上映日時:9月25日(土) 午後6:55上映開始(開場は6:35)
●上映会場:文京シビックホール(小ホール)      これは文革(1966〜1976)が終了し、生活から政治活動が消えた1970年代末期の華北にある田舎町に住む高(ガオ)家の物語である。一家は夫婦と3人の子供たちの家族である。長姉の衛紅(ウェイホン)は理想に燃え、やりがいのある仕事に就きたいと考え次々に仕事をかえてしまう。長兄の衛国(ウェイグォ)は“デブ”と呼ばれ軽い知的障害があった。末弟の衛強(ウェイチァン)は上2人の悪影響も受けず、両親の希望の星であった。ある日、衛紅はベビーシッターの仕事をすることになるが、何をやってもダメ。しまいには抱いた子供を床に落としてしまって仕事をクビになる。そんな衛紅はパラシュート部隊の降下訓練を目にする。そこで出会った若者に一目惚れをした彼女は、自分も部隊に入りたいと考え試験を受けるが結果は思わしくなかった。裏切られたと感じた彼女は突拍子もない行動に出た。自分でミシンを使い、布をパラシュートの形に縫い上げ、自転車の後ろにくくりつけて街中を走り回ったのだった。町の人はあっけにとられていた。衛国は製麺工場で荷物運びとして働いていた。知的障害があり太っていて気は小さいが、真面目に仕事をこなしていた。彼は工場の仲間からもらったタバコを大事にしまっていた。しかし、何かと面倒な兄を疎ましく思った衛紅と衛強はネズミ駆除剤を兄に飲ませようとした。直前にそれを見つけた母親は何も言わずその薬を2人の目の前でアヒルに飲ませた。アヒルはもがき苦しみながら死んでいった。それを見せつけられた2人は何も言い出せなかった。のろまな衛国を不憫に思った母親は頼み込んで、やはり障害のある娘と結婚させてもらった。2人は小さな屋台の飲食店を始めた。人なつこい衛国の性格もあり、商売は極めて順調に進んでいった。衛紅が民政局に勤める王(ワン)さんと結婚し家を出て行った。父親が衛強の部屋で裸の女性の絵を見つけた。厳格な父親は激怒し衛強をたたき出した。家を飛び出した彼はそれっきり戻ってこなかった。何年かして衛紅は離婚し、子供を連れて家に戻ってきた。家を飛び出していた衛強も子持ちの女を連れて帰ってきた。衛紅はあのパラシュート部隊の男性に再会したがかつての面影はなく、あまりの変わりように彼女は泣きだしてしまった。衛国の商売だけは順調で、今や一家の希望の星になっていた。田舎町に住む高さん一家は、いろいろあったもののまた家族一緒に生活を始めていた…。
子供たちの王様》《紅いコーリャン》《さらば、わが愛覇王別姫》《太陽の少年》など多くの作品でカメラマンを務めた顧長衛の初監督作品であり、ベルリン国際映画祭銀熊賞を獲得した作品である。本作の制作に当たり、顧長衛は妻である蒋雯麗の全面的バックアップを受けている。比較的長尺な作品であるが時間を感じさせない描き方は秀逸である。
ヒロインの張静初が自転車に自作のパラシュートをくくりつけて走り回る姿は極めて印象的で、多くのTVドラマや映画でパロディ的に真似されるほどであった。スチール写真などはご覧下さい。
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