西安&敦煌1999年

<清真寺>
それから僕らは一度ホテルに戻り、その後ホテルから歩いて数分のところにある清真寺に出かけた。西安の清真寺の周りにはアンティークの屋台が並んでいて面白いから行くといい、と同学が薦めてくれたのだ。清真寺とは中国語で「イスラム寺院」のことである。中国には回教(イスラム教)を信仰している民族がたくさんいる。特にここ西安より西に住む民族はほとんどが回教信仰だ。この寺院の周りはイスラム教徒の居住地域にもなっており、町並みも異色だった。迷路のような細い道にはずらっとアンテイークショップが並んでいた。アンティークコレクターの幸之介は値切りまくって清朝時代の桃型の可愛い箱を購入した。といっても値切り役は僕である。幸之介は英語とフランス語は話せるが、中国語は話せないのだ。
迷路のような道をウロウロ歩きまわり、ふと横を見ると「清真寺門口」という小さな看板があった。そこが清真寺のチケット売り場だった。うっかりすると見落としてしまいそうなほど地味な入り口だった。清真寺といっても建物はまるっきり中国の建物である。イスラム式の丸屋根を持つ寺院はもっと西の甘粛省に入ってかららしい。境内には観光客の他に回族のおじいさんたちがいた。回族であるかどうかはすぐにわかる。男性は白いふちのない帽子をかぶっているからだ。イスラム教には一日に5回お祈りの時間が決まっているらしく、その時間になるとどこからともなく人々がやってくる。コーランも聞こえて異国の雰囲気が漂う。
清真寺から鼓楼に戻る。鼓楼の前には広い公園があり、太極拳をしている人やくつろいでいる人などがいた。僕らは鼓楼の前の「徳発長餃子館」に行って餃子を食べた。西安は餃子でも有名なのである。
7月13日(火)
<小・大雁塔>
今日は西安市内観光だ。まずバスに乗って小雁塔へ行く。西安といえば大雁塔が有名で小雁塔はあまりメジャーではない。僕も小雁塔は初めてだった。朝早かったせいか、チケット売り場には誰もいなかったので僕らはお金を払わないで中に入った。言われたら払えばいいと思ったのだ。境内では地元のおばちゃんたちが太極拳をしたり井戸端会議をしている。それ以外にはほとんど人はいない。小雁塔は高さ42mあり、一番上まで上ることができる。僕らは狭い階段をえっちらおっちら上った。体の大きい幸之介は上のほうでは腰をかがめて階段を上っていた。一番上は2m四方ほどの狭さだった。僕らのほかにカップルが一組いて、4人でそこは一杯になってしまった。天気は曇っていたがそこから西安の町並みが見渡せた。小雁塔は西安市街地にあるので、人々の暮らしぶりが観察できた。
そこからタクシーで大雁塔へ移動。こちらは僕は3度目だ。ご存知三蔵法師こと高僧玄奘が持ち帰った経典と仏像の保存のために652年に修築されたお寺だ。こちらは高さ64m。上まで登れるがかなりしんどいので僕はあまりお勧めしない。
大雁塔の近くで僕らは朝食兼昼食をとることにした。まだ午前中だったのでお店は開いていないところが多かったが、よさそうなお店を見つけて入った。そこのチャーハンがとっても美味しくて幸之介はこんなに美味しいチャーハンは生まれて初めて食べたといって感動し、お持ち帰りまでしていた。日本に帰ってきてからもずっとそのことを言っていたので、よっぽど感動したのだろう。その後、僕らは陝西博物館、城壁、骨董街をまわった。(この項続く)
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