1月29日(土)魯迅原作映画《祝福》上映のお知らせ(現代中国映画上映会から)

次回の定期上映会は、1月29日(土)に、魯迅の小説『祝福』を映画化した作品《祝福》をDVD上映します。上映会場は文京シビックセンターの3階にあるシビックホール会議室です。皆様のご来場をお待ち申し上げております。現代中国映画上映会
カラー/スタンダード/100分/標準中国語/DVD/日本語字幕つき
原作◎魯迅『祝福』 (1924年発表)
上映日時:1月29日(土) 午後6:50上映開始(開場は6:40)
上映会場:シビックホール会議室(文京区役所がある文京シビックセンター3F)
       東京メトロ丸ノ内線南北線 後楽園駅 直結
       都営地下鉄三田線大江戸線 春日駅 直結
会 場 費:700円(会員)  ※非会員・期限切れの方は要入会
入 会 金:600円(一般会員、同時入会可、有効期間1年)
20世紀初頭、辛亥革命時期の浙江省東部の山村。若くして未亡人となってしまった祥林嫂(シャンリンサオ)は、借金のかたに賀老六(フーラオリゥ)に嫁として売られる。嫌がる彼女はそれから逃れようと必死に頭をぶつけて自殺をはかった。無理矢理連れてこられ、頭に傷を負った彼女を迎えたのは幸いにも気の弱い善人の新しい夫だった。安心した祥林嫂は賀老六と仲よく暮らし子宝にも恵まれた。しかし、妻を娶るため借金をした賀老六は金を返すために身を粉にして働いた。そのためにやがて病気になってしまう。ついに賀老六は過労死し、それに追い打ちをかけるように子供は狼にさらわれてしまった。何もかも失い絶望の毎日を送る彼女の言動は初めは同情を買うものの、同じ言葉ばかり繰り返す彼女は次第に周囲から疎んじられる存在となっていた。しかし、彼女は自分の置かれた状況に気づくことはなかった。
 2人の夫と子供に相次いで先立たれた祥林嫂は、『不吉な女』というレッテルを貼られ吉事には関係させてもらえなくなった。『なぜ私だけがそんな扱いを受けるのか…』。救いを求め菩薩にすがる彼女に、『敷居を献納すれば救われる』という言葉が聞こえた。
 それで救われるのならと必死で働いて金を貯め、ついに敷居を献納した祥林嫂。これで皆から疎まれることはなくなるはず。しかし、『私は敷居を献納したんですよ』という彼女に対し、人々は今まで以上に冷たい仕打ちをするのだった。
 現実をようやく理解した彼女は、自分が献納した敷居を泣きながら打ち壊し、絶望の中、浮浪者となってさまよう。そして、彼女は春節旧正月)の前夜、家々から洩れる祝福の声を聞きながら雪の中に生き倒れるのだった…。
魯迅の有名な小説『祝福』(1924年発表)を、夏衍が脚色した作品である。主人公の名前である“祥林嫂”は最初の夫の名前“祥林”に「おばさん」を意味する“嫂”をくっつけたもの。つまり、最初の夫の名前で呼ばれていたのだ。これは迷信に凝り固まり、女性が自分自身の名前を持つことも許されなかった時代の物語である。
 主人公の祥林嫂には名作《春の河、東に流る》や《十字路》でおなじみの往年の大女優・白楊が、2番目の夫・賀老六には《家》や《街角の天使》で好演の魏鶴齢がそれぞれ扮している。チェコのカルロヴィバリ国際映画祭で特別賞を受賞した秀作である。
 監督の桑弧(1916〜2004)は新中国誕生前から上海で脚本を書き、監督を務めた第一世代。他の監督作品に《不了情》《太太万歳》(1947)、《哀楽中年》(1949)、《太平春》(1950)、《有一家人家》(1951)、《梁山伯与祝英台》(1954)、《春満人間》(1959)、《魔術師的奇遇》(1962)、《白毛女》(1972)、《ta倆和他倆》(1979)、《子夜》(1981)などがある。
なお、本作は中国最初のカラー劇映画として特筆されるべき作品である。
スチール写真