四川成都と観光客 其の一

ただいま、９月１６日から２週間に渡る四川旅行から、帰ってまいりました。
四川と一口に言っても、随分イメージがいろいろあるようで、麻婆豆腐とかの辛い系、三国志など歴史関係、パンダ、茶館、九寨溝や峨眉山などなど各人各様、つまりはそれらの多様さが、四川の四川たる特徴。
とか冷静ぶってるけど、実はまだ興奮さめやらぬ状態なのですよ。というのはですね、上記のアレがすべてそろってんです、四川には。その上、初めて見たり聞いたりやったりすることだらけ。まったく、何から書こうか何を書こうか迷ってしまう。でも特に印象に残っているのは、成都と中国人観光客の生態かな。
というわけで、省都である成都についてまず始めに。
成都は貴重な歴史がゴロゴロと存在している。そして、九寨溝でも峨眉山でもチベットでも、どこへ行くのもこの街が拠点である。さらに、うまくてうまくて思わず昇天する麻婆豆腐もここで食べられるのです。
地理も歴史も食も、有り体に言えば全部シロウトだから感じたままに書きますと。まず、空港に降り立ったときのあの感じ。湿気が身体全体を包み込み、例の形容しがたい、梅雨の時みたいな匂い。「あ、なんか日本ぽい」と思った。盆地だから夏はクソ暑くて死にそうなんだけど、なんとなく親しみやすい。そんなわけで、成都へのアプローチは実にすんなりとキマッた。
着いた日は雨で、まあ四川では随分雨に降られたんだけど、ハルビンでは見られない、赤・青・黄色とチューリップな感じのレインコートをかぶって自転車に乗る中国人の大群には驚いた。っていうか、キレイ。北京や上海も自転車量は多いけれども、雨にはこんなレインコートを着るのかしらん。そういや、小玉さんが言ってたっけか。「成都ってね、すごい中国って感じするよ」と。確かにそんな感じ。着いてから四川大学近くの「大学路市場」を通ったんだけど、色とりどりの新鮮な野菜、ニワトリやアヒル、ナマズやカエル、果ては怪しい漢方薬を売る店などがぎっしり両側にズラーッと並んで、「おお、まさに中国なイメージ！」と実に愉快な心持ちになりました。
成都は歴史の大変古い都市で、ものの本によれば、2500年前に築城されたという。街中に世界レベルの遺産が転がってます。徒歩でもバスでもすぐ行けちゃう。劉備の墓なんかも中心部にあって、三国志ファンはそれでイチコロでしょう。かと思えば、近代的な一面もあったりする。繁華街なんかもキレイだし。換金する時にいった中国銀行なども立派な建物で、しかも窓口のお姉さん方がみんな美人で、しかも愛想がよいので一発で気に入ってしまった。
四川料理も、日本人にはなじみ深いもので、麻婆豆腐のほかにバンバンジーだとかタンタンメンなどあります、どれも美味しいのですが、特筆すべきはやはり。「麻婆豆腐の美味しさ」につきるでしょう。こんなうまいのあるかしら。いや、ない。家族のみんなに食べさせてあげたい。「陳おばさんの麻婆豆腐」という店が元祖のようで、２号店が近かったので行ってみた。歴史があるというわりに、なんだかチャチな建物だ。む、不安。とりあえず頼んでみる。ふーん・・・？なんかホテルの食堂の方がうまいや。そのほか特注でエビチリなども頼んでみたが、どれも平凡なお味。「なんだよ陳おばさんなんてたいしたことないや！」こんな結論を出すのは早いですぞ。あなた。２号店なんて所詮別の店。本店へ行ってご覧なさい。本店は店構えからして全然違い、しかも超混み。ご飯の入った蒸籠が飛び交う。そして、一口食べてみる。う、うまい！！うますぎる！！４人で食べに行ったのだが、全員しばし無言になってしまった。いわゆる放心状態です。「もうお腹いっぱい。。。」と思っても箸をのばすとやはり「うまい！」で、またホカホカのご飯と一緒にやりだすという。味のバランスが絶妙。
と、まあ簡単に成都で感じたことを書き連ねてみました。ところで四川へ来た本当の目的は何だったかというと、ズバリ九寨溝だったのです。図らずも成都がすばらしかったので一色になってしまいましたが。
九寨溝というのは、成都から北に400キロばかいったところにある大自然区域、世界遺産にも指定されているところで、何が有名って、湖の透明度！７年前、初めて雑誌で見たときの感動は実に忘れがたく、まさに「知られざる秘境」。行くまで死ねない。っていうか、行けたら死んでもいい。悲願７年、やっと行けた。
で、何でまだ生きてるかというと、他にもそういう所は沢山あるんです。あと15ヶ所くらい。
それはそれとして、九寨溝は今ではすっかり有名になり、道もどんどん整備され、今回はバス往復だけで二日かかりましたが、将来はもっと簡単に行けるようになるで
しょう。日本でもＮＨＫとかで特集したりしてるみたいですから、その美しさと感動はこの際省きます。
でも一言だけ。行って、本当に良かった。（つづく）2002年掲載
http://homepage3.nifty.com/kamakurakoka/