なぜ中国へ? 前編

何故、中国へ来たの?と聞かれると、いつも即答できずにいる。本当を言うと、これ、といった決定打はないのだ。色々な要素が重なって、中国へ留学することに決めたのである。私が留学に来たのは3年前、28歳の夏だった。当時仕事も面白かったし、辞めるのは惜しい気もして、迷いに迷って決めた。一番の理由は、このまま日本で歳を取っていくのが、イヤだったから、だったような気がするが、すでにうろ覚えである。
人生は、先取りと後取りがある、と私は信じている。女性は結婚すると、そうそう好きなことができなくなると思う。だから晩婚化が進んでいるのだが、もちろん早婚にも良い点は沢山ある。二十歳くらいで結婚し、子供を産んだ友人は、もうすっかり子供の手が離れ、すでに第二の人生を模索している。これは、人生、後取りのクチである。すでに20代後半になっていた私には、これはもう土台、無理なので、そうなると、残るは先取りしかない。とりあえず結婚は置いておいて、その前に自分のために好きなことをしよう、と思って、語学留学を選んだ。自分のためだけに時間とお金を掛けられるのは、最後のチャンスの気もした。異論もあるかもしれないが、30歳は女性にとって一つの区切りだと思う。だから30までに、何か新しい道を見つけて、結果を出したいと思ったのが、一番のきっかけである。
意外に思う方も多いかもしれないが、私は別に中国が大好きなわけでも、以前から中国語に興味があった訳でもない。2年間である程度の結果が出せて、将来的にそこそこの需要が見込める、これに該当したのが、たまたま中国語だったのだ。留学生には、中国や中国語が大好きで来た人と、私のように、キライではないけど、別に取りたてて好きって訳でもない、と2通りの人がいる。大キライな人は好き好んで留学などしないから、当然といえば当然かもしれないが。そして不思議なことに、私も含めて私の周囲で中国で就職して残留している人は、ほとんどが後者の人である。理想と現実、と言ったら月並みだが、中国大好き派の人の中で、幻滅して帰る人も少なくないのが実情。恋愛と同じで?思い入れが深く、最初から期待が大きいと、幻滅した急速に冷めていくのかもしれない。最初から、精神的にちょっと距離を置いていると、期待していない分だけ幻滅も少ないような気がする。来た当時も今も、別に大好きでもないし、キライでもない、そんな程度の思い入れだから、私はシブトク中国大陸に居座っていられるのかもしれない。
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