中国の病院編その3

北京に来てから、医者嫌いの私も、病院に行かねばならぬ羽目になった。

昨年、北京に転校し、新学期が始まる前日に日本から北京入りした。
北京入りした日の夜、「1か月ぶりの中国、やっぱり韓国料理だわ」と
石焼ビビンバを食べていた時のこと。
ガリっと口の中に異物が・・・ご飯に石でも入っていたのかと思ったら、
なんと、奥歯の詰め物が取れてしまったのである。
どうして今日なの?せめて夕べ日本にいる内に取れてくれ〜と思ったが、
よりにもよって中国入りした日の夜、ショックもひとしおである。
そのままにしておくわけにもいかないし、明日から授業が始まるから
また帰国するわけにもいかない。
背に腹は替えられず、渋々ではあるが、歯医者へ行くことにした。

中国での現地情報は、留学生ネットワークに勝るものはないと思う。
地元の留学生に聞けば、大概の現地情報が手に入るものである。
早速リサーチしてみると、北京大学の口腔外科が良いらしい。
機材良し、医者も良し、何より衛生的であったという話なので、
早速、翌日、授業が終った後に行ってみた。

そこは、見かけは小汚い?ふつうのビルで、ちっとも病院らしくない。
エレベーターで上がると、広々とした空間はなかなか清潔感が漂っている。
特別診察室、なる場所へ行き、受け付けを済ませると待合室へ案内される。
特別診察室とは、外国人とお金持ちの中国人用の診察室である。
もちろん診察代は、一般よりかなり高いと思うが、相場も知らないし、
医療費を出し惜しみをしてはいけない、医療は安かろう悪かろうの国なのだ。

待合室には誰もおらず、皮張りのソファーに座った途端に名前を呼ばれる。
女医さんが英語で話しかけてくるから、「中国語で話して」というと、
「オッケー」と言いながら、まだ英語を話している。
「英語は下手だから」と言うと、やっと中国語を話してくれる。
事情を話して診察台に座ると、左右から治療機が、ぎゅーいーん、と
自動で近づいてくる。
おおーっっ、すごい!私が日本で行っていた歯医者さんも、手でガラガラと
引っ張っていたのに、中国で初のカルチャーショックを受けた。
女医さんは「すごいでしょ、これイタリア製なの」と誇らしげに教えてくれる。

そして治療が開始され、女医さんは私に二つのチョイスをくれた。
1つは、型を取ってきちんと詰め直す、もう一つは取れたものを、接着剤で
止める応急処置をして、次回の帰国できちんと治す。
少し悩んだが、住まいから遠いので、面倒くさいし、どうせなら日本で
きちんと治したい、と思い、後者を選んだ。
患部を洗浄して、接着剤で止め、治療は完了まで5分とかからなかった。
終ったので、口を濯ごうと思ったら、コップを置いても水が出ない。
女医さんが、隣の機械から水を持ってきてくれて、
「これね、壊れてるのよ、輸入品は修理が面倒で困るわ」という。
うーむ、何かが違くないか?
患者にすると、自動の機械よりも水の方が重要である。

何はともあれ、歯医者初体験は、予想以上に順調だった。
予約もいらないし、待ち時間も短い、衛生的にも問題なかったので、
日本人にもオススメできる場所である。

(9月12日の日記は休みます。仕事は通常通りです)
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