中国の病院編その4

私は昨年の秋から北京で就職したが、出社するようになって数日過ぎた
ある朝、起きると何故か首が痛かった。
寝違えたのかと思ってシップを貼ったが、翌日は更に悪化しており、
ほとんど首が回らない状態になってしまったのである。
そして、その夜は横になって寝るのも痛くてままならず、ベッドに
体育座りをして寝たが、痛みでほとんど眠れなかった。
日に日に悪化していき、3日目には洗面所で顔を洗うこともできないほど、
左右上下に5度程度しか動かせず、ロボットのような不自然な動きである。
私は若い頃に交通事故でムチウチをやっているから、それが出たのだと
思ったが、その痛みたるや、当時の上を行っているのだ。
しかし、そこは社会人、会社を休むわけにも行かず、痛みを押して出社し、
週末を待って、病院へ行くことにした。

北京の医療は、首都なだけに充実しているように思う。
日本の保険に入っていれば、キャッシュレスで診察してくれる場所も多く、
そういった病院は、ほとんど日本語が通じるお医者さんや看護婦さんもいるのだ。
病院によっては、片道100元以下ならタクシー代を支給してくれるところなど、
サービスも千差万別である。

数年前のムチウチなら、東洋医学のアンマや針の方が何となく効きそうな気がする。
そして東洋医学の本場、四千年の歴史を誇る中国にいるのだ。
これは試してみない手はないだろう、と東洋医学科がある病院を選んだ。
五つ星のホテルの1フロアーに入っているその病院は、日本語の雑誌にも
広告を載せており、後に私のハウスメイトとなるA嬢オススメの病院である。

電話で予約をして、東洋医がいることを確認した上で、早速行ってみる。
症状を話し、レントゲンを撮ると、神妙な面持ちで骨には異常がないという。
当たり前よ、何もしていないのに、首の骨に異常があってたまるか!と
思わなくもない。
心当たりはないか?と聞かれるが、ムチウチという中国語を知らない。
事前に辞書で調べたが載っていなかったので、事故の後遺症で、
こういった症状で、と説明すると、分かったのか分からないのか、
有効な治療法はないから、マッサージと鍼灸治療しかない、と言われる。
そのためにこの病院を選んだので、まさに私の思うツボの展開である。

5日後に、就労ビザの申請のために帰国することが決まっていたので、
とにかく短期で治さないといけないのだ、これでは帰国どころではない。
一度のアンマで、30度くらい首が回るようになり、痛みも半減し、
その夜、数日ぶりにベッドに横になって眠ることができたのである。
それから帰国まで3回通って、痛みもほぼ収まり、首も生活に支障がない
程度に回るようになった。
無事に帰国してビザも完了、その後中国に戻ったら、また少し痛み出したので、
鍼灸に3回通ったら、すっかり完治し、その後は何ともない。
A嬢は、その病院に持病の腰痛再発で通院したが、やはり3回で完治した。
東洋医学はあなどるべからず・・・四千年の歴史はダテではないようである。
http://homepage3.nifty.com/kamakurakoka/