中国の銀行編その1

以前はサラリーを全額キャッシュでもらっており、タンス預金?していた。
留学生のころは学生寮や留学生用のマンションに住んでいたため、
電気代や電話代を銀行に行って支払う必要がなかったので、
日常生活の中で銀行に行く機会はほとんどなかったのだが、
一般のアパートに住むと電話代などの支払いも全て自分で
銀行に赴いて行わなくてはならない。
上海ではローソンでも公共料金が支払えるのだが、北京では
”商業銀行”と呼ばれる銀行のみが公共料金を取り扱っている。
また、先ごろからサラリーが銀行振込となったこともあり、
最近は銀行へ行く機会がやたらと多い。

私は中国工商銀行という銀行を使っているが、中国で口座を作るなら
ここがお勧めである。

中国の銀行システムを私が知る範囲で簡単にご説明しよう。

トラベラーズチェックの換金は、中国銀行でしかできないし、
外貨の取り扱いも中国銀行が主となっているので、外国人に一番
なじみの深い銀行は中国銀行だと思う。
私も留学生時代は、もっぱら中国銀行を利用していた。
しかし、一般の中国人に人気の高いのは、やはり中国工商銀行である。
今はどうか知らないが、少なくとも去年までは、中国の銀行はどこも、
北京で口座を作ったら、北京市内でしか出し入れができない、という、
不便極まりないシステムであったのである。

以前、東北地方で留学生をしていた頃は、学費や寮費のドルや日本円を
部屋においておくのも危険なので大学の近所の中国銀行に預けていた。
そのときに、北京でも引き出せるといわれたような気がしたのだが、
(悲しいかな、当時の語学力では”言った”と断言できないのだ)
北京に転校して、さあ学費を、と思ったら、越境して引き出せないことが
判明。
口座を開設した市内でしか引き出せないと言われて愕然とした。
ちょっとー、カンベンしてよ・・・と思ったが、
駄目なものは駄目、ということで
その週末に、このためだけに古巣へと戻る羽目になってしまったのだ。
高速バスで7時間半、汽車だと9時間、一人で移動するには、ちょっと
ブルーになる距離であったが、仕方がない。
手続きそのものは、口座を開設した支店でなくても、市内であれば、
どの支店でも問題ないのだが、引き出す外貨が多額になると、ストックが
足りなかったりして、明日また来いとか、残金は別の支店に行って
受け取れ、とか言われる事も多々ある。

余談だが、私は今、人民元でお給料を貰っているが、
人民元を外貨にしたいと思ったら、銀行でも空港でも、換金してくれない
のだ。
日本円を米ドルに替えようと思ったら、パスポートだけで簡単にできるし、
日本と比べて手数料も安くてお徳なのだが、これはあくまで外貨⇔外貨の
場合である。
私は、中国政府の外貨獲得政策のため、と信じて疑わないのだが、
中国では外貨→人民元にするのは、身分証明もいらないし、
銀行の窓口ですぐにできるが、人民元→外貨にするのはやたらと面倒。
空港や銀行で換金した時の明細書に基づいて、その額面の半額しか
再換金ができないシステムになっているので、
その明細書がないと外貨購入は不可能なのだ。
一度ゲットした外貨はそう簡単には手放さないぞ!ということらしい。
私は外国人だから、とか、そんなのは理由にならないのだ。
そのくらい、外貨の流出に目を光らせている、ような気がする。
このシステムが中国が世界第2位の外貨保持国へ
のし上がった秘訣なのかもしれない。

このように外貨獲得が規制されているため、闇両替文化?が発達しており、
大体、どの街にも闇両替屋さんが存在する。
闇両替屋さんで、外国人は外貨を人民元に、
中国人は人民元を外貨に換えるのである。
外貨を売るときは銀行よりもレートがよいので、多くの外国人が
この闇両替を利用している、ように思う。
中国人は銀行で換金できないから、銀行レートに上乗せして
ここで外貨を購入する、という仕組みである。(つづく)