ナショナリズム

下記は10年前にメルマガのあとがきに書いたものです。
現実は変わらないどころか、思わしくない方向に向かっている、と感じています。

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私たちは自分のすんでいる地域が中心と思い、日々生活しています。
私なども正直なところローカルな人間なので、日本全国津々浦々まで
親近感を持っているわけではなく、中国に滞在中に、日本のある地域
の人たちが群れて彼らのノリで話しているのを見て嫌悪感を抱くこと
もありました。
海外にいて日本人がいて安心するのはとりあえず日本語で話せるから
で、パスポートが同じだから安心ということでもないでしょう。
国は一生懸命国民を括ろうとしますが、言語や伝統、価値、道徳、
生活習慣、健全な食事(要するにおいしいごはんとおいしい酒)など
生活の根幹での結びつきがないと、健康なナショナリズムは育たない
でしょう。それがあればこそ、違う地域の人を尊重できるのではない
でしょうか。

日本でさえナショナリズムの形成に際しては種々歪みがあるのに、
人口10数億もある国が国民統合にまい進すれば世界の脅威にしか
なりえません*注1
世界の中では日本も中国も相対的な存在でしかありませんが、問題は
図体がでかいことです。その立ち居振る舞いに配慮が求められるのは
当然のことですね。

日本も中国もそういう意味では健康な地域主義も育っていませんし*注2
ナショリリズムにもゆがみが感じられるように思います。ただし後者
は中国の方がより深刻に感じますが。

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注1:書き足りなかったので補足すると、国民統合自体が悪いのではなく、その手段として外国を攻撃対象にするのが問題、ということです。
注2:東日本大震災では被災地域の人々の自己犠牲的な行動や発言が日本や世界の人々の称賛の対象となりました。地域コミュニティの骨太さを私自身認識しました。もちろん、束縛と表裏一体であることもある地域で感じています。ただし、健康な地域主義が(日本で)育っていない、は表現が足りませんでした。
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