雲南へ来て九日目 (完)

3Q4988便は40分遅れて8時50分に小雨ぱらつく薄霧の中、香格里拉を離陸、
通常なら昆明まで50分足らずですが、大気の状態でしょうか、まるまる一時間
かかって9時50分に昆明国際空港に着陸しました。

一時間近い遅れが出たとはいえ、帰国便のチェックインまでは三時間近い余裕が
あるので、上海へ帰る陳さんと別れてから再びタクシーで市内へ出て、小雨の
ぱらつく中、最後の買い物を楽しむことにしました。

ちょうど中秋節を間近に控え、ショッピングセンターの前には月餅を売る臨時売店
のテントが張られ、どこもお客で賑わっています。
北京や上海では日本のように透明フィルムで包装したものをぎっしり詰めたタイプ
が多いのですが、昆明では一個づつきれいな箱に入れて、さらにお酒やお茶などと
セットにした贈答用の豪華版か、超特大月餅が一個入った缶入りが主流で、値段は
だいたい100元以上。一方、いろいろな種類の餡を入れた月餅をバラで売っている
ところもあるので、自宅用ならこちらのほうがおススメ、なんといっても経済的で
嵩張りません。
ついでに、月餅というと小豆、胡麻、ナッツなどの餡が一般的ですが、"雲南月餅"
と言われるものは"ハム餡"(ハムを短冊状に細かく切ったもの)を揚げパンとパイ
のあいのこのような生地に包んだ饅頭型のもの。最初は慣れないけれど、一度食べ
るとやみつきになります。月餅は中秋節の一ヶ月ほど前から売り出されるので、
この時期行く人はぜひお試しあれ。

そろそろ九日間の旅の締めくくりとなりました。

昆明国際空港に戻って、売店に預けておいたスーツケースを引き取り、いよいよ
国際線のチェックインを、と思いきやカウンターが見当たりません。
"国際出発"と表示があるのだけれど…とうろうろ。ようやく守衛さんが立っている
後ろに国際線チェックインカウンターに通じる入口があるのを見つけたところ、
こんどは空港建設費のチケットを買わなければいけないことを思い出しました。
守衛さんに聞くと「那辺(あちら)!」の一言。
ところがこの中国語の示す範囲はあまりにも漠然としていて広い…。
結局、スーツケースを彼に預かってもらって、"那辺"の方向へ、つまり国内線の
ほうへ行ってしまい、そこでまた聞くと答えはやっぱり「那辺!」。
広い空間を端から端へ数回往復したあげく、"国際出発"の表示の下に戻ってみると、
そこが国際線の空港建設費チケット売場だったのでした。
薄暗いカウンターに係りの女性が一人ぽつんと座っているだけなので、どうみても
案内所にしか見えないのですが…。

 「なーんだ、ここだったの!」
 「だからさっき言ったのに…、あっちの方へ行くからどうしたのかと思ったよ」
と若い守衛さんに言われて大笑い。
北京の首都空港ではおっかなくてこうはいきませんが、
昆明の人は「那辺」は例外として、とても親切です。

かくして無事チェックイン完了、14時40分離陸予定のJAS JD898便は30分遅れて
午後3時10分、小雨に煙る昆明を離陸し、約五時間の帰国の途についたのでした。
                                (おわり)

雲南 香格里拉 旅行記」は今回で終了です。
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