休日編  

ハウスメイトA嬢が南方へ旅立ち、一人になってから、半年あまりが
経過した。
彼女が去ってから、北京に友人らしい友人は皆無である。
そのため、週末や休日といっても、大した用事もないのだ。

金曜の夜、一人でVCDなどで映画を見ながら好きなだけ夜更かしして、
休日は自然覚醒に任せて惰眠を貪る・・・
時々なら素晴らしく優雅な生活かもしれないが、
ずーっとこんな生活を送っていると、本当に気が滅入ってくる。

しかし、いざ出かけるといっても、銀行に公共料金の振込みや近所のアンマ、
買い物など、場所は限られており、変わり映えのない単調な生活なのだ。
体調が悪くて出かけなかったりすると、誰とも口をきかない、
誰にも会わないといった、孤独な週末になったりして、独居老人の
気分を味わってみたりする。

北京は観光名所が沢山あって良いねー、楽しいでしょう、と良く言われるが、
故宮天安門万里の長城など、一人で行って楽しいはずがない。
その辺の公園に一人で散歩に行っても、一人で繁華街をうろついても
つまらないこと、この上ないのだ。
観光でも旅行でもなく、生活となると、話は全然違うのである。

私はほぼ毎週末、アンマに行っている。
家から徒歩20分ほどの場所にある、小さい「盲人按摩」のお店で、
そこは地元の中国人が利用する、キレイでも高級でもない場所であるが、
アンマ師の腕が良いので、今、一番のお気に入りの場所なのだ。
食料品の買い出しと散歩がてら行くのに、ちょうど良い距離なので、
大体日曜日の午後はアンマタイムを過ごしている。

北京ではここ1,2年で「盲人按摩」が顕著に増えたような気がするが、
リーズナブルで腕が良いので人気が高まっているのだろう。
料金は一時間60元(千円弱)で、回数券を買うと48元(約800円)になる。
他の都市では、もっと豪華で高級な場所でも、このくらいの金額のところもあるが、
北京の物価は高いので、この金額はかなりリーズナブルである。
疲れのヒドイ時は、一時間半に延長して身体をほぐしてもらう。
このアンマが、味気ない北京ライフの中で、唯一の楽しみかもしれない。

                    (休日編つづく)

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