8月15日(水) ラサ市内観光(午前編)

(2003年ごろ連載)
横浜生まれのりんむうさんは1989年、北京の中央民族学院に留学していました。
今回初めて憧憬のチベットへ。チベット族同学「格多」との再会は果たせるの
でしょうか?りんむうさんは、ポタラ宮を観光中に、偶然、「格多」が属する
「西藏自治区歌舞団」の看板を見つけて・・・・・

(文中「り」  りんむうさん   「そ」  そーねいさん)

仕方なく、”あっち”に向かって歩き出すが、4階建ての宿舎がいっぱい
あって、どれが1なのか2なのか、ましてやこれだけの部屋数の中から
どうやって格多を捜し出せばいいのか。
とりあえず、ずんずんと中に入っていくと、中庭みたいな所でおじさま方
がお食事中である。音楽なんかかけちゃって、ちょっと入っていけない
雰囲気。
入り口付近でウロウロしていると、中からひとり出てきた。
り「あ、あの・・・。」
そ「人を探しているんだけど・・・。」
り「格多っていう、琵琶を弾いている・・・。」
男「格多、格多・・・。あそこだろ。」
り「えっ? ここ? この建物?」 
男、スタスタと歩きながら、「ああ。」
り「え、え、あの、この建物のどこ・・・?」
男、歩き去りながら、「ここだ。」
と相変わらず建物全体を指差して行ってしまう。

り「ここだって。」
そ「ここって、ここのどこにおるん?」

4階建て、1階につき部屋の数は10もあろうか?
またもや仕方なく建物の中に入ってみる。
静まり帰った廊下。人の気配がしない。

り「叫ぶか。」

昔、よく寮の外から友達を呼んでいた中国人達を思い出し、別に怒られ
はしないだろうと叫び出す。

り「格多! 格多!」
そ「格多! 格多!」

怒られるどころか、人っ子ひとり出てこず、何の反応もない。
これを1階から4階までやっていくというのか?
限られた時間しかないのに、非常に無駄である。

ち「これはやっぱり、人に聞いた方が早いよ。この宿舎の直班みたいな
   人、いないかな??」

とりあえず外に出てみる。
すると隣の建物から、男の人が出てきた。
り「あの〜」
そ「私達、人を探しているんだけど・・・。」

お決まりの質問が始まる。

男「格多? そこだよ。」
り「えっ? ここ??」

なんと私達がウロついていた宿舎の外、1階部分に張り付くように建って
いる長屋風の建物の1室を指差すではないか。
門のすぐ隣、目と鼻の先である。

り「あの、琵琶弾いている・・・。」
そ「27,8位の?」
男「ああ、そうだよ。」
言いながら、またどこぞへ去っていく。

そ「ここだって。」
り「入ってみる??」
恐る恐るノック。 反応なし。
思いっきりノック。 そして「有人[口馬]?」(つづく)

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