番外編 オヤジ魯国を行く

(顔廟)
 孔林から南に戻ってくると、顔廟がある。
ここは言うまでもなく、孔子の弟子・顔回をまつった廟である。
東西と正面に美しい石坊が立ち、木々がほど良く生い茂り、孔廟ほど広大で豪華では
ないが好感の持てる廟である。
入ってすぐの所に「陋巷故址」の碑、少し離れて「陋巷井」がある。
顔回の清貧・勤勉を伝える『論語』から出た地名であるが、ここがその跡地らしい。
廟の前の南北に伸びる巷は、陋巷街という。
「陋」は狭い、卑しいといった意味だが、なるほどみすぼらしい通りである。
蒸し物・煮物・麺食を食べさせる数件の屋台が出ているが、近年の中国にあっては
かなり質素な屋台である。衛生面でも十数年前の中国を思い起こさせられる。
呼び込まれたが、さすがにお断りした。屋台の名誉のために書き加えておくと、
昼時ということもあってどの屋台も満席に近い状態であった。
安いか旨いかのどちらかであるに違いない。     (つづく)

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