一時帰国編

そこで、中国政府は考えた。
どうやったら流出してしまった知識人が帰国してくれるか、と
あの手この手で、呼び戻し作戦を展開する。
そして遂に、中国に帰国すれば、今、海外で得ているのと
同じだけの待遇、もしくはそれ以上の待遇を提供する、という
条件を出すところまで至ったのである。

中国政府にとっては、これは最後の切り札だったに違いない。
中国の貨幣価値を考えたら、これは大変なことである。
が、効果のほどは、どうも芳しくないようだ。
中国政府の敗因は、彼らの”愛国心”を過信しすぎた点だと思う。
彼らは、確かに国を非常に愛しているが、それと
永住帰国とは、話が別のようである。

アメリカで大学教授をしている北京出身の初老の男性は、
中国はトイレが汚いからイヤだ、帰らない、と言ったらしい。
そのため北京政府は公衆トイレを大改造して、
星でランク付けし、五つ星トレイまで出現したが、
この大学教授が意図したものと、かけ離れた結果に違いない。
さあ、5つ星のトイレを作りました、帰ってきてください・・・
と、そういう問題ではないのだが、とにかくトイレをキレイにしたようだ。
だが、その後、その教授が帰ってきたというニュースは聞いていない。

そんなわけで、国外流出した知識人の帰国は
思うようにはかどっていないようだ。
                   (一時帰国編つづく)
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