番外編 オヤジ魯国を行く

孟廟・孟府
 孟廟の廟前は広く芝生が植えられていて、
道路際からレイ星門と後ろに控える廟内の木々がすっきり見渡せる。
2つ目の門である亜聖石坊は、廟内の木々の景色とバランスよく調和している。
ここも境内は古木が立ち並び落ち着いた感じだ。
康煕年間の再建時に建てられた大きな碑が、碑亭の中に建つ。
その右、少し離れたところに「孟母三遷」碑と「孟母断機」碑が建つ。
賢母の代表・孟母の故事を思い出しながら得々とし(オヤジ的には、これ位のわかり
易い碑がお気に入りである)、静かな境内でひと休みするのも楽しい。
本殿は亜聖殿で、少しずんぐりした印象を受ける重檐入母屋造り、中には、やや
ひょうきんな顔付きの亜聖像が安置されている。

孔子を「至聖」と呼び、その孔子に次ぐ人物であることから孟子を「亜聖」と呼ぶ。
かつて、孔廟・顔廟には井戸(孔宅故井・陋巷井)があったが、
孟廟には井戸がなかったそうだ。ところが、ある夜、嵐が起こり雷が鳴って、
翌日の朝、地面が裂け井戸ができていたそうだ。
境内に残る「天震井」にまつわる故事である。
なぜか中国の旧跡には必ず意味ありげな古井戸がある。

 孟廟の西隣が孟府である。孟廟の養気門から表に出ると近い。
これらの間を通る道には、亜聖牌坊が建っている。
埃っぽい通りだが、牌坊は立派である。孟府は言うまでもなく孟子の子孫が暮らして
きた所で、孔府同様に前部が役所、後部が住居になっている。
近年、整備改修が行われたようで、妙にこざっぱりしている。
清代の勅書や年代物の銅器(おそらく下賜された物であろう)などの展示もある。
(つづく)
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