8月15日(水) ラサ市内観光(午後編)

夕方のバルコル。日も傾きかけ、商店は夜の準備を始める。
そんな中、ジョカン寺に向かって五体投地を繰り返す若い僧侶の姿を見て、
私は初めて”ラサ”を実感する。

普通に生活している、何気ない一瞬に、その土地ならではの光景に出くわ
したりすると、私は何だか喉の奥の方がじわじわしてきて、
『今、この瞬間の現実』
を実感してしまうらしい。

いくつもの店をひやかしながら、1時間ほどかけて一周する。
結局、お目当ての物は何も買えずじまい。

り「そーねい、ごめ〜ん。外、ひとりで歩き廻ってた〜。」
そ「ああ、いいよ。私もちょっと外、見たんやけど、またここ戻って
お土産買っとったんよ。」
り「え? 何、何? 何にしたの?」
そ「う〜ん、石・・・。もう、これでいいかな〜と思って・・・。」
り「ああ! そっか〜。石、いいよね〜。」

そーねいの買い物は、いつも着実で確実である。
     
ようやく4階の食堂へと向かう。
ここではバイキング方式、とのこと。
好きなものを好きなだけ、遠慮せずに食べられるバイキング方式は、
見知らぬ者同士のツアーの食事では、ウレシイ方法である。

正面に小さな舞台があり、テーブルをチベットっぽいソファーが囲む。
そういう席が、全部で20もあろうか?
なんだか場末のキャバレーみたいな作りである。

柱の陰には、楽器担当のおじちゃんと、歌担当のおばあちゃんが座っている。
小さい子供が足元にいたりして、どうも”一家”らしい。

観客はと言えば、私達以外に、個人のツアーらしい日本人のご夫婦、
そして、団体客・台湾人御一行様。
(う〜ん、今夜のショーは荒れそうだ・・・。)

台湾人御一行様は、ふるまいのバター茶やお酒の時点でもうすでに
あーでもない、こーでもないと大騒ぎである。
彼らにとって”高山病”は、すでにどーでもいいものらしい。

食事の準備ができ、料理に殺到する台湾人。
スープを床までべしゃべしゃとこぼし、迫力いっぱいである。
しかし、日本人のように恐る恐るつまんでみては、
「何、コレ〜?」
と言いつつ皿に戻したりするよりは、楽しそうだし元気いっぱいで、
よっぽどいい。

負けじと私達も料理へ向かう。
どこが一体チベット料理なのか? 普通の炒めもののおかず数品と
コロッケ(あとで、チベット名物じゃがいもの”モモ”と判明)もどき、
何故かフライドポテト、チャーハン、いつものトマトと青菜のスープ等々、
フツーである。
チベットらしいものといえば、先にも述べた《モモ(チベット
ギョーザ?)》、《キノコの炒めもの(チベットはキノコ類の名産地)》、
《ヨーグルト》、そして《ツァンパ》。
でも比較的、味はいい。
チャーハンもおいしかったし、モモやキノコもなかなかイケル。
中でも激ウマなのが、なんと言ってもヨーグルト!
当然、おかわりしました。

高山病の心配さえなければ、もっともっと食べれたのだが、大事をとって
腹八分目で箸を置く。
ツァンパ位ならと、誰も手をつけていない皿から豆腐のように拍子切り
されたツァンパをとってきて、みんなにもススメてみる。

り「麦こがしみたいで、こうばしくておいしいですよ。」
と言ってひとつつまんで食べてみせる。
が、このツァンパ、私が考えていたよりも更に本場の味がする。
バター茶なのか、バターをつくる時にできたうわずみを使っているのか、
なんとなく酸っぱい。

(こいつぁ・・・。)
案の定、2個目にチャレンジする人は誰もいなかった。

http://homepage3.nifty.com/kamakurakoka/