ハルピン極寒編中央大街

まず真っ先に、ロシア風の建物が多く残ることで有名な中央大街に
向かった。

実は、ハルピンは今回が2度目で、最初に訪れたのは96年の初夏
だった。
その時は、確かに中央大街の西洋風の瀟洒な建物は好印象ではあった
のだが、特別記憶に残っているものがこれといってなかった。

それが、今回は中央大街に一歩踏み入れるなり、強烈な印象を受けた。
街がきれいに整備されているせいもあるかもしれないが、むしろ、
季節の問題だと思われる。

街路樹が葉を落として裸になった通りは、視界をさえぎられる事がな
いので、遠くまで古い風格のある建物がびっしり並んでいるのが見渡
せる。
復古調、バロック調、ロココ調...などと建物のひとつひとつを観賞
するというのではなく、通り全体が異国情緒に溢れており、雰囲気と
して「ロシア風」を実感できるのだ。

また、この街が持つ、寒さに少しも怯むことなく向かい合う気概、み
たいなものも肌で感じることができる。
防寒具に全身を包み、白い息を吐きながら足早に道ゆく人々の様子も
また、ロシア風を思わせる。

我々の勝手なイメージかもしれないが、ロシアといえば、極寒と暖か
ボルシチなのだ。そして、この景色こそ、我々がハルピンに求めて
いたものだ。今回真冬に来て、初めてハルピンが「東方のモスクワ」
だといわれる所以を理解できたような気がする。
やはりハルピンは冬にかぎる!

突然、横丁から爆音が鳴り響いた。発砲事件か爆発事件でも起こった
のかと驚いたが、実は爆竹。
「ロシア」な気分は、いきなり生の「中国」にかき消されてしまった。

春節から7日目…てっきり、もうお祭り気分も終わっている事と思い
込んでいたが、なんと中国離れしたハルピンの異国風情の中で、本場
の爆竹のすごさを目の当たりにすることになった。
北京を始め中国の大都市では、爆竹が禁止されているところが多いが、
ハルピンは未だ禁止されていないのだ。

普段なら人通りの少なそうな横丁。
その路上のど真ん中に、何メートルも繋がった爆竹が置かれている。
そして火花と爆音と煙を、大勢の野次馬が遠巻きにしている。
もちろん我々も急きょ野次馬になる。

                      (つづく)
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