8月16日(木)市内及び郊外観光

横浜生まれのりんむうさんは1989年、北京の中央民族学院に留学し
ていました。今回初めて憧憬のチベットへ。
チベット族同学「格多」とも再会でき、チベット観光は続きます

(文中「り」  りんむうさん   「そ」  そーねいさん
「く」「23,24」「奥さん」道中一緒になったクレオパトラさん 
23、24歳の2人の女性、奥さん。詳しくはバックナンバーをご参照
ください )

8月16日(木)市内及び郊外観光 *************

一番最後にたどりついた所は、山の中腹にある眺めの良い広場。
山側はその広場と同じ広さがある長い階段となっており、その階段
を登ると上に、やはりその広場と同じ広さの門に四天王の絵が大き
く描かれている。

下から見ても相当の大きさ。
目の前で見たらさぞかし迫力だろうと階段を登ろうとすると、一番
上に年とった僧侶がひとり座っている。

やせ細り、日焼けしたシワだらけの顔をくちゃくちゃにしながら、
ニコニコと笑っている。

ガイド曰く、
「彼はとても有名なお坊さん。とても面白い。いつもあそこに座って、
私達の真似して写真一緒に撮る。」

下からガイドが、ピースしろだ、何をしろだというと、厳粛なチベ
ット仏教の僧侶とは思えぬおどけっぷりで、応えてくれる。
一緒に写真にも写ってくれるが、それはそれ。
いくらかお支払しなければならない。

「彼は普通話、解らないし、年もいくつなのか誰も知らない。」
高僧らしいが、詳しい事は不明。
そーねいの情報によると、帰国後 NHK衛星でチベット特集を放送した
時、この僧侶が出ていたとのことである。

曲がりくねった狭い道を下りながら、出口へと向かう。
そーねいとふたり、一番最後からゆっくりと歩いて行くと、物乞いの
子供が近づいて来た。

いったんは無視してやり過ごせたのだが、その子はそーねいのバッグに
入っているペットボトルを見つけるや否や、そーねいにまとわりついて
行かせないようにする。
喉が乾いているらしく、水をくれ、というのだ。
高度3,600mの地で、夏の日差しの中、朝からずっと物乞いしていれば、
喉も乾くだろう・・・。

そ「ちょっと、どーしよー・・・。」

見ればまだ幼児ではないか。チベット語なので、何と言っているかは
判らないが、声も弱々しいし、何よりも必死にそーねいに訴えかける
姿に思わず憐敏の情を感じてしまった。

り「喉、乾いてるみたいだよ・・・。水、あげたら?」
そ「う〜ん、でも、いいんかねぇ・・・。」

そーねいがカバンからペットボトルを取り出し、渡そうとすると、
さっきまでのくたびれた様子とはうって変わった素早い身のこなしで
水を奪い取るや、自分のいたポジションへと走って逃げ、貪るように
水を飲んでいる。

救ってあげようとか、良い事をしようとか、そんな傲慢な気持ちは
さらさら なかったが、何だか後味の悪い、やりきれない気持ちで
いっぱいになる。
「ありがとう」の一言くらい、言えないのか・・・。
                        (つづく)
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