いよいよ氷灯

さて、気を取り直して、ライトアップの時間に合わせて、再度兆麟公園
に向かった。入り口近くには、観光バスが何台も止まっているし、切符
売り場も大賑わいだ。
氷灯でできた公園の門は、昼間見た時とはうって変わって、まばゆいば
かりの美しさで、これこそが我々が見に来た氷灯だ。国内外から押し寄
せた観光客は、皆口々に感嘆のため息をついている。ようやく念願かな
った瞬間に我々も興奮気味で、しばし寒さの事は忘れてしまった。
そして、門をくぐる。

どの氷灯にもテーマや特徴があって、それぞれに個性的だ。公園の中は、
まさに色とりどりのおとぎの国と化していた。公園の敷地内全体にちりば
められた氷灯は、大きい物では高さ十数メートルはあろうかと思われる
有人宇宙ロケット「神舟5号」をイメージした物や、外側の直径で20メ
ートルほどの巨大迷路、天壇を思わせる中華風の建物、キリスト教会、パ
ルテノン神殿、帆船、四合院等々。小さいが精緻な彫刻を凝らした氷像が
並ぶ回廊があったり、各国の氷彫刻家(?)の作品が並べられた広場があ
ったり、次々に色鮮やかな氷灯が現れるが、どれも飽きることなく楽しめ
る。

雪像のライトアップは、外から光を当てて像を見せるが、氷灯はその内側
に色とりどりの電灯が仕掛けられていて、その電灯の光が透明の氷を通し
て、氷灯全体を浮き上がらせて見せる。だから、光に透明感があるうえ、
全体が明るく、幻想的な雰囲気になるようだ。

氷灯は実際に見てみると、想像していたよりずっと美しい。その独特の透
明感は、フィルムの上にそのままの美しさを表現できるものではなさそう
だし、また、我々の貧弱な語彙では形容しきれない。とにかく、自分の目
で実物を見るのがいい。
ハルピンの氷灯は、我々の「イチ押し」だ。

氷灯は松花江の対岸にある「氷雪大世界」でも見られる。今年で5回目と
比較的新しいこちらの氷灯は、兆麟公園の物よりさらに大掛かりだ。たと
えば、今年の目玉とも言える三峡ダムの氷灯は高さ18メートル・幅70
メートルもあり、その上に上ることもできる。専用の敷地内には、氷灯が
所狭しと並んでいて、18メートルの高さから全景を一望すると、夜空に
宝石をちりばめたようにキラキラ光って見える。

また、その全景の中でひときわ目を惹くのが、ダイヤモンド型をした巨大
迷路だ。迷って楽しみ、さらに見て楽しむ迷路は、おそらくここにしかな
いだろう。
他に、今年16回目の太陽島の「雪博会」では、雪像が秀絶だ。
これらのイベントは、最近の旅行ブームとハルピンの冬季観光誘致の相乗
効果の賜物ともいえそうで、年々その規模を拡大しているようだ。ハルピ
ンは、さらに冬季オリンピックの誘致にも熱心で、2010年は落選して
しまったが、既に2014年の候補地に名乗りをあげ、着々と準備をすす
めているとか…。


                      (つづく)
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