開封

さて、寄り道を重ねてようやく開封の街に着いた。
 開封は、比較的有名な観光都市でガイドブックも充実しているし、
こまごま紹介するのはやめるが、全体的な印象としては、かなり好感
度の高い街だ。個人的には、街中にいくつもある湖で、ゆっくり釣り
をする人を眺めるのがお気に入りだ。もっとも、観光開発が進みすぎ
て詰まらない、という意見もあるかと思うが、そこはひとつ、頭のモ
ードを切り替えてから観光した方がよさそうだ。
 観光の中心となるのは、宋代の街並みを再現した目抜き通り宋都御
街と、龍亭公園・翰園碑林・清明上河園、それと開封府などのテーマ
パーク風の公園だ。清明上河園では、宋代貴族の結婚式を真似た結婚
式を演出してくれるらしい。写真を見る限り、細部に至るまでかなり
凝っていて、楽しそうだ。土、日曜日に行けば、地元の人が結婚式を
しているのを見られるかもしれないし、あるいは、新婚旅行で開封
訪れる日本人にもお勧めである(そんな人もいなさそうだが・・・)。
また、街の四方をぐるりと取り巻いている城壁といくつかの城門も、
この街の特徴だろう。

 我々が開封に好感が持った理由のひとつは、"食"と関係があるのか
もしれない。鄭州では、駅前に宿をとっていたからかも知れないが、
とにかくおいしい物にありつけなかった。だが、開封では、夕方にな
ると街のいたるところに屋台が並び、手軽にいろんな種類の料理を食
べることができる。
 さらに、全国に名の知れた老字号「開封灌湯小籠包子店」や、地元
で有名な老字号「稲香居」がある。
どちらもお手頃価格で、おいしい。特に後者は、お勧めだ。
焼き餃子専門店である。
 水で煮た餃子、蒸した餃子は、それぞれ「水餃」、「蒸餃」と呼ば
れるが、日本人の国民食"焼き餃子"は、中国では「鍋貼」と呼ばれる。
なお、焼き餃子は、もともと身分の低い人の食べ物だったそうだ。つ
まり、高貴な人が「水餃」を楽しんだ後、その残り物を分けてもらっ
た下々の者がそれを焼いて食べたとか・・・。
 そんなことはさておき、稲香居の「鍋貼」は、いわゆる"はね"付き
餃子なのである。餃子の周りに片栗粉のパリパリした"はね"が付いて
いる。この小麦色にほどよくこげた"はね"の様子は、今まで「鍋(鉄
板)に貼り付いていました」と言わんばかりで、この餃子をみると「
鍋貼」という名前にも納得できる。もちろん、味も格別である。
余計なお世話だが、餡はもっとも一般的な「当店のお薦め」を選ぶの
がよい。最初にここで食べた時、我々はあまりの餡の種類の多さに圧
倒され、お手軽にいろんな餡が10個1セットになったのを頼んだ。おか
げで、"あんこ"餡の餃子まで食べる羽目に・・・。
その次に行った時には、自分の口味(好み)に合ったものを心ゆくま
で堪能した。パリパリの"はね"、ほどよい弾力のある皮、ジューシー
な餡、思い出しただけで口水(よだれ)が出てくる。

 
                        (つづく)
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