8月17日(金)ラサー成都ー広州(予定)
外に出るとそこはもう成都。
チベットからたった今、帰ってきた我々にしてみれば、明るいネオン、
高層ビル、たくさんの車と人。 まさに大都会である。
旅行者が用意してくれた送迎バスは、大型の空調完備・デラックスバス。
偉さんがこのまま次の添乗に行かなければならない為、代わりの添乗員が
バスのマイクを握る。
「ハ〜イ、みなさん、お疲れ様でしたぁ〜。」
皆、一斉にため息。
ガイド「私、今日と明日の出発までのお手伝いをします?(名前忘れた)
です。
偉さんね、このあと、別の仕事入ってる。このまま船に乗って
三峡下り、行かなきゃならない。先に船乗り場、行きます。
いいね?」
全 員「は〜い」
ガイド「えっと、みなさん、飛行機8時間遅れ。すごいね。私もこんなこ
と初めて。中国、いろんなこと日本より遅れています。そのなか
でもチベット、更に遅れている所。仕方ないね。これで中国嫌い
にならないで。」
思わず、皆、納得してしまう。
ガイド「でもね、みなさんが乗った中国西南航空、安全第一。ちょっとでも
おかしい所あったら絶対飛ばない。特にこのチベット行きの便、今
まで無事故ね。」
それはそれで嬉しい事ではあるが・・・。
ガイド「今日はみなさん、成都にもう1泊することになりました。成都、
いい所です。ホテルは行きに泊まった所と一緒。部屋の回数はバラバラ
だけど、特別、ちょっとイイ部屋取りました。」
全 員「おおお〜っ!」
ガイド「その前に食事。四川料理ね。辛いけどおいしいよ。」
全 員「おおおお〜っ!!」
船着き場に到着。ここで5日間を共にした偉さんとはお別れ。
皆、感慨深げなのに対し、相変わらずあっさりと「じゃね!」とバスを降りて
いく偉さん。しかし、バスが走り出しても手を振り続ける我々に、最後まで手
を振ってくれていた。
そんな私達の感傷など一向に気にせず、バスは猛スピードで我々をレストラン
へと連れていく。
着いたところは街の中心街、立派な建物、電飾キラキラ、ラサから帰って来た
ばかりの私達には白亜の城に見える。
服務員の「歓迎光臨!」の嵐の中、一同円卓の席に着く。
ガイド「えっと、まず飲み物、何にしますか? みなさん、飛行機遅れて
大変でした。飲み物、ウチの旅行社からのサービスです。なんでも
好きなもの、好きなだけ頼んで下さい!!」
全 員「おおおお〜っ!!」
り 「私、ビール!!!みなさん、飲みましょうよ!」
23才 「飲みますぅ!!」
しかし、今回のツアー参加者、みなさんお酒の飲めない方ばかり。それでも
怒涛の今日1日を思ってか、みな一杯目はグラスを挙げて乾杯。
久し振りの冷えたビール。周りの目も気にせず、一気に飲み干す。
神戸の奥様までもが「あ〜・・・。おいしいわぁ〜。」と感嘆の声をあげる。
そして料理。
美しく盛られた前菜。暖かいスープ。色とりどりの炒め物。
そして麻婆豆腐・・・。
一同「おいしい・・・。」
ク 「まっ!!ちょっと、このスープ!飲んで、飲んで!!」
一同「え?どれどれ・・・。ふわぁ〜、おいしい〜!!」
ク 「向こうにいた時は、ラサの食事もそんなにひどいと思わなかったけど・
・・。」
リ 「やっぱりこれに比べると・・・。」
一同「違いますよねぇ〜!!!」
にこやかに給仕してくれる服務員。飲み物がなくなればすぐついでくれ、少し
でも皿が汚れると取り替えてくれる。
”サービス”という精神を学び始めた中国。過剰なまでの対応ではあるが、
一生懸命さが何だか初々しい。
すっかり上機嫌になってしまった私と23才。二人して乾杯、乾杯。
実はこの23才、本当は飲めないらしいのだが、今日のこの一日を思うと祝杯を
あげずにはいられない!とばかり飲むわ、飲むわ、もうヨロヨロである。
でもそれは楽しいお酒。二人して笑いころげているのを、一緒のツアーの方々
も楽しそうに笑顔で見守ってくれている。’謎’君までもがオレンジジュース
で頬を赤らめ楽しそうである。
お腹いっぱい食べた後は、行きと同じホテル、銀河王朝飯店へチェックイン。
部屋に入り、荷物を降ろし、
そ・り「ふぅぅ〜・・・。」
り 「なんとかここまで辿りついたねぇ。」
そ 「それにしても・・・。」
そ・り「大変だったね〜〜っ!!」
本当ならこの日、この時間は広州にて広東料理を食べ、明日は日本へ帰るだけ、
オールナイトで広州ナイトライフを楽しんでいたはずなのに・・・。
しかし、それはそれ。成都に1泊できるとなればそれはもう、私達のこと。
不幸中の幸いのばかりに荷物を置いて、早速、夜の成都市街へと繰り出す。
(つづく)