お題:鬼と蛇の皮を被った黒い馬

(ちょうど、原稿も休止していた頃のお話です。)
PCをはじめとして、部屋中のものが毛病でした。
テレビ、ラジカセ、CDプレーヤー、充電器、録音機(中国の教材は未だ多
くがカセット・テープか、いきなりMP3)
「あ〜、羊羹先生こんにちは。王ですけど、遊びに行ってもいい?
今行きますね。」と、生徒の王さんより電話。
(桂林の日本人のほぼ全員と知り合いなのではないか?
私が全然知らない人とも交流している。彼のお祖父さんが日本人だそうで、
親戚も北海道にいて、とにかく日本人との交流するのが大好きで、中島み
ゆきの大ファン。中国が嫌いで、日本を余りにも夢のような良い国だと思
い込んでいるので、ちょっと心配・・・。)で、
王さんがやって来て開口一番
「先生、怒った方がいいよ!隣の人はこんなことをしている。」と、
玄関の前で燃やしたあとの灰の山を見て激怒。
「ああ?こんな団地の中で、燃やしたりして危ないと思うんだけど、ちょ
くちょくやってるよ。せめて灰ぐらい片付けて欲しいよねでも、みんな掃除マ

メにしないし、
いちいち怒らなくても・・・」
「いいえ、もし、先生は中国人の老人なら、当然怒りますよね!」
「そう?中国のお年寄りってそんなにキレイ好きだったけ???」
「鬼ですよ!鬼!ここから先生の部屋が鬼の歩く道でしょう。」
「は?鬼・・・?」
「この家の人はいつも死んだ人が誘う。夢で呼びますよ。誘います。
だから隣の人は、紙のお金ここで燃えますね。鬼が夢に入れないようにし
てるよ。ここにある灰が原因。鬼は先生の部屋を歩きます。早く灰捨てま
しょうね。」
「は???」
まー、ともかく迷信なのだけど、王さんの話によりますと、隣人は夢の中
に死んだ人(←中国では死んだ人を「鬼」と表現するみたい。おそらく香
港映画のキョンシーみたいな奴のことだと思います。)がいつも出てきて、
苦しいときは玄関の前で紙のお金をたくさん燃やして、夢に入ってこない
ようにするそうですが、入って来れない鬼が私の部屋を通って帰る道の方
角になるそうです。
そ、そう言われて見れば!
お向かいさんは手鏡を玄関の扉の上の方にくっつけてる!
これは、自分の家の方に鬼が入って来ないようにしてるのか?!
「今、家にある電気製品が皆壊れちゃったんだけど(中国製じゃなくて。)
それって・・・もしかして鬼のせいなのかな?
最近、ずーっと頭が痛くて堪らないし・・・」
「そう!先生!早く!早く片付けて!外に捨てますよ。
この灰は家に入れたら大変!」
そうか・・・私の部屋はキョンシーの通り道になってたのね。
と、いうわけでセッセと掃除して外に灰を捨てました。
数年前、広州の中国人友達の叔父様(元政治家で今は実業家)の超豪華!
なマンションに遊びに行ったときに、近代的な西洋風建物なのに、どこの
部屋もやたら玄関の扉に札を貼りまくってあったり、扉の前に長い中国式
の線香を立てたり、りんごとか果物を置いてあったりしてアンバランスが
妙に印象深かったな・・・。
今後も、社会が急激な発展を遂げて変貌しても、中国の迷信は生き続けて
いくのでしょうか。
中国の迷信・・・不思議な感じ。
そういえば、朝鮮族の生徒金さん(キレイな日本語を話す子です。家では
韓国語、外で中国語、日本語も通訳レベル。朝鮮族の学校では英語はやら
ないで、中高と日本語を勉強するそう。)が、賢かった妹が不良(という
か、働かないで進学もしないというので、日本で言えばニートですかね。)
になって悩んでいるという相談をされたことがあります。
「私も辛いんですよ・・・先生。母も、父も、一体この子はどうしてです
か?と、家族はみんなで悩んでます。原因もわからないでしょう?解決す
ることもできないんです。それで、母は占い師に頼みました。私の故郷で
は有名な占い師なんです。そうしたら、妹の生まれは、蛇の皮を被った黒
い馬だからと言われたんです。」
「??????・・・・どういう意味なの???」
「それは先生・・・私にも、わからないんです。ただ、母は占い師にそう
言われたそうです。一体どうしますか?先生?」
「何だか・・・怖そうだね。」
と言う以外返答できず。
もはや人智の及ばない世界の話。
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