8月17日(金)ラサー成都ー広州(予定)

ホテルで貰った地図を片手に、まずは街の中心広場に向って歩き出す。
り「デパートや夜市もあるみたい。」
そ「買い物とかしようやよ。」

しかし、中心地へと向う道はどの商店もすでに閉門。うっすら明かりが
もれている店に近づいてみれば、閉店したあとの店内で従業員達が食事の
真っ最中。
り「まだ9時だっていうのに・・・。」

ブラブラ歩いて行くと、暗闇の中、白く浮かびあがる大きな彫像が見えて
きた。
毛沢東像である。
そ「成都ではまだ残っとるんやね。」
り「私、街中に立っているのって初めて見たかもしれない。」

二人してちょっと感動しながら近づいていくと、女の子が二人、写真を撮って
いる。
り。そ 「あっ!」
23。24才「ああっ!!」 
23才、24才コンビである。
23「やっぱり外出されたんですか〜?」
り「そりゃあね、ホテルでじっとなんてしてられないでしょう。」
24「写真撮りましょうよ、写真!」
そ「あ、そーやね。みんなで撮ろうや。」

ただでさえノリのいい4人。そこに今日一日の興奮とお酒が加わって大騒ぎ。
偉大なる毛主席の前で、大撮影大会である。
23。24才「この後、どうされるんですかぁ?」
そ「う〜ん、デパートとか夜市とか行きたかったんやけど、閉まっとるんよ
  ね。」
り「私、アイス食べたいのよねぇ。」
23「アイス、ですか??」
り「うん、中国のアイス、おいしいよ。(変ってるけど・・・)」
24「へぇ〜。食べてみた〜い!」
り「じゃ、一緒に探そうか!」
23。24「はいっ!!」
4人でアイスを求めて歩き出す。


り「ここが成都の街の中心みたいなんだけど、繁華街ではないからねぇ・・・。」
そ「でも、公園とかになってて、こんな時間でも散歩している老夫婦やカップ
  とかいて、いいフンイキやねぇ。」
23。24「ホントですねぇ。」
り「私、気に入っちゃったなぁ。」

そんなことを話ながら、地図を片手に歩いていると、
「えいっ!請問一下!!」
と、突然後ろから大声で声をかけられた。
夜の公園、男の声、みんな一瞬ビクッとして振り向くと、20才位の若者が息を
きらせて走って来た。慌てまくった、興奮した様子。何事ごとかと思うと、
若者「○○○路ってどこにあるの?」
と聞くではないか。
り「えっ!○○○路??ご、ごめんなさい、私達、成都の人じゃないの。日本人
  なの。わからないわ。」
若「えっ!!日本人・・・?!(2〜3歩、後ずさる)そうか、ごめんよ。
  友達の家を探しているんだけど、見つからなくて・・・。」
り「○○○路?私、地図持ってるけど・・・。」
若「えいっ!好了!悪いんだけど、見せてくれないか?」

地図を広げ、5人で頭を寄せ合い、○○○路を探しだす。
若「オレ達が今いる場所はどこだ?」
そ「ここよ。」
若「[口奥]!えーっと・・・。あった、あった!ここだ!と言うと、えーっと、
  こー行って、あー行って・・・。」
り「地図、あげますよ。」
若「えぇっ!それはダメだよ、申し訳ないよ。」
り「いいよ。だって私達、明日は日本に帰るから、この地図いらなくなっちゃう
  から・・・。」
若「あいよ・・・。真不好意思・・・。本当にいいのか??」
り「いいよ、いいよ。持って行って。」
若「謝謝、謝謝。初めて成都に来たんだ。今朝着いて、ずっと探してるんだけど、
  見つからなくて・・・。」
り。そ「今朝?!朝から探してるの?ずっと??」
若「ああ。」
そ「だって、今もう夜の10時よ!!」
り「電話は?」
若「つながらないんだ。」
と言って見せてくれた小さい紙切れには、友人の名前と成都○○○路○○号と
いう簡単な住所、そして電話番号とおぼしき数字が書きなぐられていた。
そ「市街局番とかあるんやないの?」
り「多分ね・・・。」
若「君達、本当にありがとう!助かったよ。これで友達に会えるよ!」

あわてて地図を折りたたむと、若者は私達に手を振って○○○路方面に向って
走り出した。
そ「彼は一日中、ああやって成都の街を走り回っとったんかね?」
なんとも悠長な話である。
でも、何だかとてもおかしくて、4人して大爆笑。

半分店仕舞いしている小さい商店で緑豆アイスを買い、4人して食べながら
ホテルに向う。

り「明日も早いんだよね。」
そう、明日は広州行き、第一便に乗る。従って、また6:00にホテル出発。
23。24「おやすみなさい。」
り。そ「また明日ね!」

数時間前までのパニックと混乱状態はどこへやら。
単なる移動日であるはずの一日が、こうして更けていくのであった。

                         (つづく)
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