仕事探し

帰国後、とりあえず少量であるが、翻訳の仕事を請け負った。
翻訳などの仕事は、最初にもらった仕事にクライアントが満足しないと、
次はもうない。
だから、初めてのクライアントの仕事は特に緊張する。
また、気に入ってもらえたら、リピーターになる可能性もあるのだ。
フリーの翻訳者は非常に多いし、インターネットがあれば、
どこにいてもできる仕事なので、気に入らなければ、
次の翻訳者を探せばいいだけの話なので、非常にシビアである。

また、翻訳の仕事は常にある訳ではないし、翻訳だけでは
収入も不十分なので、どんどん仕事の幅を広げて
いかなければならない。
今、考えると、当時は仕事を選り好みするゆとりがなかったように思う。

また、翻訳者は一般的に専門や得意分野があった方が良いのだが、
マイナー言語は、
得意分野だけ受けていたのでは、仕事量が不十分なので、
どんな苦手な分野でも、やはり引き受けないといけないことがある。
手紙・ファックスのようは平易なものから始まり、
IT、化学、工業、医療、環境、法律関係まで
「何でも屋」にならざるを得ないのだ。
日本語の時点で、めまいがしそうな超〜苦手分野であっても、
できる限り、断らないようにしている。

また、隙間産業を目指すには、
積極的に自分を売り込んで行く必要がある。
自分自身が商品であって、それを自分で売り込まないといけないのだ。

そこで私は、とりあえずイエローページをめくり、
地元の翻訳・通訳関連の
会社などに、片っ端から電話をしてみた。
剣もほろろに相手にしてくれないところ、一応、履歴書を送ってくれと
言ってくれるところ、とりあえず、話を聞いたうえで、
ウチでは必要ないと断られるところ、面接に来てくれ、と言う会社、
反応もさまざまだあった。
一社、電話をすると、では面接に・・・といわれ、
約束の時間に赴いたら30分以上も待たされ、
ち〜っとも面接が始まらない。

中国ですっかりアバウト化した私でも、さすがに腹が立ったので、
受付の方に「もう結構です、時間がないので失礼します」と伝えて、
帰ろうとしたら、社長が突然出てきて、面接することになった。
私はその時点でかなり”ご立腹”状態で、
「もう結構です、これで失礼します」と
社長を無視して帰ろうとしたら、
「ちょっと待ちなさい、このご時勢、謙虚さがなきゃいけない!
何か特殊な能力があるからと言って、
いい気になっていると仕事なんか見つからない」と説教された。
いらんお世話だ・・・と、
故意に思いっきり憮然とした顔をしてみせたのだが、
お構いなしに応接室に通され、延々と30分以上も自分と会社、家族の
自慢話を聞かされ、挙句の果てには
「ウチはねぇ、中国語の需要はあまりないんだよ」とのたまった。
いったい何なんだ・・・中国語翻訳って募集してあったやんけ!
と怒り、心頭である。


この日は、本当〜〜に人生の貴重な時間を無駄にした気分である。
履歴書を取り返してくれば良かった、と思うほど、今思い出しても、
本当に腹立たしい。
そして、これに懲りて、とりあえず面接に行く前に、
電話で軽〜く話を伺うことにした。

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