8月18日(土)成都-広州 帰国へ

朝6:00。あの、ラサへ向けて出発した4日前と同じようにホテル
特製の「べんと」を渡され、成都空港へと向う。

第一便だというのに、空港内は大きな荷物をかかえた客でごったがえし、
例の如くチェックインカンター前は黒山の人だかり。
ようやく搭乗手続きを済ませたガイドがテキパキと航空券をくばり、
フッと私の顔を見るや、
「ハイこれ。みんなの荷物の半券ね。なくさないようにあなた持ってて。」
と、なんのためらいもなく私に渡す。

ガイドと別れ、学校の教室のような待ち合い室に行くが人であふれ
かえっている。商店があったのでせめて成都らしいお土産を・・・と
麻婆豆腐の素など物色していると、そーねいが
「りんむう、なんだか広州行きの便ゲートが違っているみたいなんや
けど・・・。」
と言うではないか。

り「えっ!!!」

チケットには「登机口1」となっている。
でも、案内の電光掲示板は4になっている。そして放送されるアナウンス
は4番・・・。
おじちゃんやクレオパトラのおばちゃんも気付き、「おかしい、おかしい」
と騒ぎだす。

そうこうしているうちに広州行き待ち合い室の人々がぞろぞろ出てきた。
どうも搭乗開始らしい。

1Fからバスに乗っての搭乗らしいのだが、その1Fに降りる階段ですでに
長蛇の列である。見ると並んでいる人、1人1人のチケットを空港職員が
チェックし、広州行きの客かどうか確認している。
それも2Fからの降り口で1回、1Fに降りた所でもう1回。
中には「昆明行き」などというチケットを握りしめた中国人がいて、空港職員
のお姉さんに「あんた、何並んでんのさ!」と怒鳴られる始末。
私達は一同、固まって並び、おとなしく前の人に続いて行き、無事広州行き
に搭乗できたのであった。

広州到着。
り「暑い・・・。」

飛行機から一歩、足を踏み出すと、そこはもう真夏の広州。熱帯性の湿気と
広東人の熱気に身体が包まれる。
私がツアー客全員分の荷物のチケットを持っていたので、とりあえずみんな
を一ヶ所にまとめ、まとまって到着ロビーへと向う。
迎えのガイドはどこかと辺りを見渡すと・・・・

ガ「はーい、みなさん。お疲れ様でしたぁ!」

小太りで眼鏡をかけ、白い開襟シャツにセカンドバッグという「いかにも」
なガイドが手を振って迎えてくれる。
挨拶もそこそこに、
ガ「はいみなさん、こっちこっち。」
と言って、空港内をいきなり出発ロビーへとつれていく。
出発口横にある、存包処まで来ると、
ガ 「ハイ、みなさん。荷物ここに預けます。みなさん、これから観光、食事
でもバス、ちょっと小さいね。荷物のらない。またすぐ空港戻るし、
荷物預けます。」
と言う。
それはそれでグッドアイデアである。
ところがガイドが存包処のおじさんに声をかけ、荷物を預かっててくれと頼
むと、おじさん、ダメだダメだ、ここはそういう荷物を預かる所ではないし、
そんなにたくさんの荷物はおけない、と迷惑そうである。
しかしそこは交渉の達人・中国人、おじさんの話を最後まで聞かず、
「好、好、好。」と言いながら、私達の荷物をどんどん部屋の中に運びこむ。
中を覗くと、どうやら荷物の一時預かり所ではなく、飛行機にのせる国際宅
急便や小口貨物の集荷所らしい。
毎日空港に顔を出しているガイド、顔見知りのよしみでムリヤリここに預け
てしまおうとの魂胆に、一同思わずうなる。

結局、私達の荷物はおじさんの事務室内へギュウギュウに入れられ、おじさ
んも一言、「アイヨ・・・」と舌打ちである。
そんなことはおかまいなしにガイド、
「さっ!バス、待ってます。早く行きましょう!」
と、さっさと歩きだす。

標高3,000mのラサ、気候がいいことで知られる成都、そこから知られる真
夏の広州。
空港を一歩出ると、排気ガスと熱気が身体にまとわりつき、みな思わず顔を
しかめる。
そんな私達のとまどいも他所に、ガイドは渋滞中の空港前ロータリーを縫う
ようにすりぬけ、駐車場に止めてあるバスへと私達を案内する。

何事にもせっかちなこのガイド、せきたてるように私達をバス押し込むと
ガ 「はーい。みなさん、お疲れ様でしたぁ。私、ガイドの張と言います。
   よろしくお願いします〜!」
全員「よろしくお願しま〜す。」
ガ 「ハイ、みなさん、昨日は残念だったね。ホントは昨日、広州着いて、
   夜広東料理。でも飛行機遅れた。仕方ないね。」
一同、ウンウンとうなずく。
ガ 「じゃ、これから中国の茶道、体験しに行きます。時間、あまりないね。
   すぐ行きましょう。」

着いた所はちょっとした庭園風の一角。竹が生い茂り、竹の並木道を抜ける
と東屋のような建物が2軒、軒を並べて建っており、その前の広場では石で
できたテーブルと椅子が何組かおかれ、思い思いの鳥かごを持った老人達が、
お茶を飲みながら談笑中である。
そ 「ええ雰囲気やねぇ・・・。」

片方の建物に通される。
中には様々な茶器と名茶が売られており、そこで茶道が体験できるようにな
っている。部屋の中は外の熱気はどこへやら、空気はひんやりと涼しく、思
わず皆、ホッと一息つく。

始めに出されたお茶は鉄観音。茶葉の説明から聞茶や飲み方等聞きながら味
わう。
私とそーねい以外は初めての中国茶道。みな神妙な面持ちである。
鉄観音は口の中でほんのりと甘く、みな中国茶がこんなにおいしいものだっ
たのかと、驚きの様子である。

次に出されたのは花茶ジャスミン茶である。
これはスッキリと爽やかな飲み口で、出されたお茶受けの点心類もついすす
んでしまう。

しばらくゆったりとした気分でお茶を楽しんでいたが、飲み干せば次々と注
がれ、いい加減、皆、満腹である。
茶道に興味のあるそーねいは売られている茶器を物色し始め、23、24才コン
ビや神戸の奥様方もお茶の買い物を始める。
男性陣はぼんやりと椅子に座り、所在なさげである。
あんなにあせっていたガイドは一体どこへ行ったのやら、そろそろ皆が時間
を気にし始めた頃ようやく、「は〜い、みなさん、出発しま〜す。」とどこ
からともなくガイドの登場である。    (つづく)

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