寧夏・内蒙古 編

秦代長城

翌日は、秦代長城を見に行った。秦代長城は、包頭から北に60KMほどの
ところにあるが、ここへは包頭から固陽まで行き(1時間半)、そこで興
順行きのバスに乗り換える。
バスは固陽を出るとしばらくは起伏の緩やかな道を走るが、20分ほどた
った頃突然、山がちな場所にさしかかる。そこでいきなり車掌さんに「こ
こよ!」と降ろされた。周りはところどころに雑草が見える岩だらけの斜
面のみ、入場券売り場や旅遊区の門があるわけではない。なんだか突拍子
もない所で降ろされたものだ、としばらく当惑しつつも上を見上げると、
ちゃんと「秦代長城」と書いた看板がある。確かにここのはずだ。という
わけで山肌をよく見てみると、山頂近くの尾根に沿って周りと明らかに様
子の違う帯のような石の並びを発見。これが長城である。どうやら、こち
らは観光開発の対象にはなっていないようだ。
ごつごつした山を少し上って近づいてみると、この長城は平たい石を積み
上げただけのものだ。今となっては高させいぜい1?1.5メートルほどし
かなく、簡単に飛び越えられそうなぐらいしか残っていないが、それでも
石の帯は見渡す限りはるか遠くまでずっと続いている。
北京の八達嶺のような長城とは似ても似つかない素朴な長城だ。それもそ
のはずで、八達嶺は明代、これは秦代のものである。建造年代に1600
年もの差がある。紀元前3世紀から存在しているのだと考えると、素朴だ
と形容するのは間違っていて、むしろ始皇帝の偉大さを改めて感じさせる
長城だ。
道路に面した所には、車を止めて秦代長城を見学している観光客らしい人
は何人かいた。が、さすがに長城に沿ってハイキング気分で歩いて見よう
という奇特な観光客は、おおよそ我々ぐらいのもので、山頂に着いてから
は秦代長城を独占した気分になれた。最近どこに行ってもきれいに整備さ
れ観光地と化している遺跡に、少々うんざりしていた我々にとってはかな
り新鮮で贅沢な秦代長城ハイキングとなった。

(つづく)

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