8月18日(土)成都-広州 帰国へ

また追い立てられるようにバスに乗り込む。
ガ 「はい、中国のお茶、みなさん、どうでしたか?おいしかった??」
全員「おいしかったで〜す。」
おじちゃん「いっぱい飲みすぎて、腹がたぷんたぷんだよぉ。」
ガ 「水分をたくさんとるのは身体にいいね。お茶、たくさん飲む、健康に
   なります。・・・・さて、みなさん、これからどうしますか??」
全員「どうしますかって・・・・。」

みな顔を見合わせる。

ガ 「どこか行きたい所、ある??」
ク 「どこかって言われても、私達よくわからないし・・・。」
そ・り(小声で)「うちらは街中で買い物したいよね。」
ガ 「みなさん、希望ないなら美術館、いかがですか?新しくできた所。
   とてもきれい、素晴らしいものいっぱいある。
   そこに行く、どうですか?」
全員「どうって・・・。」

一斉にみな、私達の方を振り向く。
そ・り 「えっっ・・・。」
ガイドまでが私達の方を見る。

り 「美術館ねぇ・・・。みなさん、行きたいですかぁ?」
ク 「私達はどこでもいいけど・・・。」
ガ 「みなさん、あまり時間ないでしょ。街の中、渋滞ひどい、あまり
   動けません。美術館はすぐそこです。」
り 「う〜ん・・・。」
ガ 「新しく出来て、とてもキレイだし素晴らしいものもいっぱい。今、
   兵馬傭の展示してます。」
り 「えっ!!兵馬傭?!」
ク 「アラッ、兵馬傭ってあの西安の??」
神戸「それは見てみたいわねぇ・・・。」
り 「行ってみますか!」
ガ 「はい、行きましょう!!」

着いた所は街外れの小高い丘の上。
本当に真新しいキレイな建物の美術館である。
バスを降りて、試しにとガイドに私達だけ別行動をとっていいか、街中に
出てもいいか聞いてみる。
が、やはり答えは不行。とにかく渋滞がひどいので、時間通り戻って来れ
るか心配であると言う。
それはそれで仕方のない事。ここはおとなしくガイドに従う。

中に入ると早速、兵馬傭のコーナーである。
最初は写真による説明。発掘された当時の写真などが展示され、それを
読み進むうちに次の部屋へ。いよいよ、兵馬傭との対面、初めて見る私は
もう、ドキドキである。
どんな荘厳な光景かと、興奮しながら中に入ると・・・・

り 「ええぇぇ〜っ!!一個だけぇ〜?!」

西安の、あの発掘された巨大な写真の中に、ポツンとひとつだけ兵馬傭が
立っている。
そりゃあ、いくら何でもあのものすごい数の兵馬傭がここにあるとは思っ
ていなかったが、せめて4〜5体あるのかと思っていたのに・・・。

ク 「あらぁ、なぁんだ、一個だけなのねぇ。」
ガ 「兵馬傭、国の宝です。とても高い。ここまで運ぶの大変です。」
り 「そりゃぁ、そうだけどさ・・・。」

結局、兵馬傭の展示はこれだけ。
次の部屋からはまばゆいばかりの工芸品が並べられ、客もほとんどいない。
入ると必ずその部屋のスタッフが私達にピッタリとつき、展示品の説明を
始める。
なんだか様子がおかしいなと思いつつ、説明を聞きながら商品をよく見て
みると
ナント、全て値段がついているではないか!!!

り 「ちょっと、そーねい。これ、売り物みたいだよ。」
そ 「なんね、美術館と違うん?」

ここがお店だという事に気が着き始めたツアーのメンバーも、あまりに
も高額な商品と熱心な店員の応対に辟易し、もう部屋にも入らない始末。
最後に辿り着いた部屋でようやくガイドが
「はぁい、みなさん、疲れたでしょ?ここでちょっと休憩。お茶飲みま
しょう。
お土産も買えますよ。」と本当の事を言う。                        

入った部屋はよくある友誼商店のような店で、思わず女性陣は目が輝く。
私達が入った途端、部屋の鍵をかけられたのが少々気になったが、今回の
旅行は全体的に時間が緊迫しており、心ゆくまで買い物する機会がなかっ
たのでここでお土産を買ってしまおうと思わず気合が入る。

が、いくらなんでも限度というものがあるし、そんなに欲しいものがある
訳でもない。広州の空港で買えばいいやと思っているので買い物もすぐ終
わってしまう。
ガイドはお茶を飲みながら店員と談笑中である。「みなさん、こっち座っ
てお茶飲んで。」と言うが、先程茶道でお腹がいっぱいになる程お茶を頂
いた私達、
「もうお茶はいいよぉ・・・」と誰も手を出さない。

部屋の外に出て、周りの景色等を楽しみたくとも鍵をかけられているし、
まさに缶詰状態。私達が手持ち無沙汰でいるのにガイドは全く気にせず、
時間がない、ないと言っていた割には随分とゆっくりしているので、逆に
こちらが不安になってくる。
そ 「ちょっと、時間平気なんかね。」
り 「言った方がいいかな?」
などと心配しているとようやく
ガ 「さ、行きましょう!お昼、飲茶ね!」
とガイドが腰をあげる。

着いた所は街中の老舗の飲茶店。2階では広東人達が声高らかに会話をし、
茶を飲み、点心をほおばっている。
り 「うわぁ、おいしそう〜。」
そ 「楽しみやねぇ。」

しかし通された部屋は3階の個室。
楽しそうな広東人の会話も、おいしそうな点心達や匂いも全くなし。隣で
食べている、あれは一体何だろう・・・と楽しむ雰囲気は全くない。
しーんと静まりかえった部屋の中、我々9人だけで円卓に座り、ワゴンで
持ってくるのではなく、もう決められたセットが出てくるだけ。飲茶でも
なんでもない。
り 「ビール飲まれる方は?」
と聞くも、今回のメンバーはあまりお酒をたしなまれる方ではなく、私ひ
とりで寂しくビールをかたむける。

それでもでてきた料理は炒飯や蝦餃など、我々に慣れ親しんだ料理ばかり。
みな、なんとなく安心したようにそれぞれ箸がすすみ、デザートの杏仁豆
腐まであっと間に平らげてしまう。

けれども例の如く、ガイドは来ない。
飛行機は2時のフライト。時間を見ればもう12時を過ぎている。
みなでする事もなく座っていたが、ふと、
り 「そういえばみなさん、出境証はお持ちですか?」
と聞いてみると、何人かはなくしてしまっているし、まだ書きこんでいな
い人もいる。
り 「あ、じゃあ持ってる方は今ここで書きこんでおいた方がいいですよ。
   なくした方は空港で出国で並んでいる間に書くようにしましょう。」
とそーねいと二人で手分けして記入を手伝う。


                          (つづく)
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