8月18日(土)成都-広州 帰国へ

けれどもまだガイドは来ない。
り 「ちょっと・・・。」
そ 「だいじょうぶなんかね、時間・・・。」

探しに行こうかと席を立った所へガイド登場。
「みんな、食べた?おいしかった??」
全員席を立ち、出発の準備をし始めると、
「まだいいよ。ゆっくり食べて下さい。トイレ行きたい人、行って下さい。」
と余裕である。
それではとみなトイレに行ったりし、荷物をまとめようやく出発。

店を出ると、急にあせり始めたガイド。早く早くとバスに乗せられる。
ガ 「はぁ〜い、飲茶、おいしかったですかぁ?(暢気なヤツだ!!)じゃ、
   空港向かいます。今回、みなさん時間少なかったね。またゆっくり広州
   に来て。」
なんとなく旅の終わりという雰囲気の中、バスは一路空港へと走り出した。


・・・が!!!!
道路は大渋滞。空港が見える所まで来ているというのに、車は一向に進まな
い。
舌打ちするガイド。時間はもうすぐ1時である。
り 「ちょっと・・・。」
そ 「だいじょうぶなんかね・・・。」

今日一日で、一体何回この会話をそーねいとしただろうか。不安気に前方の
様子を伺っていると、ガイドの携帯が鳴り響いた。

ガ 「うぇい?!だいじょうぶだ、今、空港のすぐ側に来ている。
   もうすぐだ。
   空港がそこに見えるんだから!!」

どうやら荷物を預けた存包処のおじさんが、搭乗時間がせまってきたのに
現れない私達を心配して、電話をかけてきたらしい。

ウトウトしていた他のメンバーも、異変に気付き始めた。みな心配そうに
私達の方を見る。
り (そんな、私達の方見られても・・・)

ク 「随分混んでるみたいじゃない?だいじょうぶなのかしら・・・?」
ガ 「うん、だいじょうぶよ。」
言った側から携帯が鳴る。

「うぇい!!だいじょうぶったら・・・。好、好、好、荷物を全部外に出し
て並べておいてくれ!わかってるよ、2時の飛機だろ!!」

何を言っているかは分からなくても、緊迫した声はメンバーの不安をかき
立てる。
ましてや会話を聞き取れてしまう私達。成都に引き続き、また飛行機に乗
り遅れるのかとあせりまくる。

このままここでバスを降りて、走っていこうかと思っていた所にようやく
到着。
ガ 「はぁい、着きました〜。みなさん、降りますよ〜。」
全員がバスから降りたと思ったら・・・。

ガ 「急いでっ!!走りますっ!!!」
いきなりガイドが走り始めた。
全員「えぇ〜〜っ!!」

ガイドを含め10名が一斉に走りだす。
広州空港の中を全力失踪する日本人老若男女。先ほどの存包処まで来ると、
おじちゃんが外に並べられた私達の荷物の前で、今か今かとウロウロして
いる。
走って来る私達の姿を見るや、
「快、快! 快点!!」と手を大きく振り、片っ端から荷物を手渡していく。

ガ 「はい! 荷物持って、ここから入って! 入ったらすぐ左ね。
   チェックインして!! これ、みんなのチケットね!!」
またもや何のためらいもなく、全員分のチケットを私に手渡す。

時間はまもまく2時。
チケットを手渡された私は必然的にツアコン状態である。
り 「みなさんっ! こちらに来て! 荷物まとめて!! パスポート
   集めます。」

チェックインを済ませ、全員に航空券をくばる。
り 「次は出国です! 飛行機の搭乗ゲートは○番ですから、出国が終わ
   ったらもうどんどん行っちゃって下さい!」

出国審査は行列である。
り 「空いてる所に並んで! 出境証、持ってないんですよね? ハイ、今、
   並んでいる間にこれ書いて! 私は一番最後から行くから、そーねい
   最初に行って、みんな連れてって!!」
そ 「うん、わかった!」

そーねいが先導し、搭乗口へとみんなを連れて行く。全員が出国を無事済ま
せたのを確認して私も出国する。
時間はまもなく2時となり、搭乗はすでに始まっている。

ラッキーな事に搭乗口が出国からすぐ近かったので、あっという間に辿りつく。
搭乗口には神戸のご夫婦とそーねいが待っていてくれた。
り 「全員、乗りましたか?」
神戸「だいじょうぶだよ。全員確認したよ。」
り 「よかったぁ・・・。あぁ〜!!買い物が出来ない〜!」

土産物屋に後ろ髪を引かれるように飛行機に乗りこむ。
「搭乗予定のお客様、全員搭乗完了です。」
というアナウンスを聞きながら、最後の客となった私が乗りこむ。

そ・り「はぁ〜・・・・。」
り  「あとは日本に着くだけか・・・。」
そ  「なんや、慌ただしい旅やったねぇ。」
り  「最後の最後までだもんねぇ。」
そ  「でも、ツアーのメンバーもいい人ばかりやったし、とりあえず無事
    帰れるという事で・・・。」
り  「チベット、また行きたいね。」
そ  「行こうや〜。絶対また行こう!今度はさぁ、日客則とか江孜とか」
り  「それにはもっと時間とお金が必要だね。」
そ  「格多達があそこにいるってわかっただけでも良かったわ。今度は連絡
    の取り様があるし、みんな元気で無事にいるってわかっただけでも安
    心したわ。」
り  「そうだね。昔はもう二度と会えないかもって思ったけど、今はその気
    になればいつでも会えるって気がする。チベットがすごく近く感じる
    よね。」
そ  「ええ所やったねぇ・・・。」

旅の思い出に浸りながら関西空港へと向う。
旅の仲間ともここでお別れ.。関空に着いたらそれぞれが別々の帰路に着き、
ゆっくり挨拶をするヒマもない。
飛行機の中で挨拶をすまし、関空から福岡・羽田とそれぞれ分かれる私と
そーねいも次回の訪中を誓いあう。

定刻通り無事関空着。
「じゃあ、私達はこれで!」
「お疲れ様でした!」
「お元気で!」

それぞれが旅の思い出を胸に現実世界へと戻っていく。
私も明日から早速仕事。天上の別世界から一気にストレスと不安・焦燥の
うずまく世界へと引き戻される。
でも、それは明日になったら考えればいいこと。今はこのチベットで受けた
感動をかみしめながら帰ろう。

そんな事を考えながら、まさかこの後、羽田行きの飛行機が整備不良の為、
いったん滑走路へ向おうとしたものの整備場へととって返し、1時間も足止め
食らうとは思いもせず、眠りに着くのであった。


回回回 完 回回回 


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