青海省編

西寧市

 西寧市一帯の地域は、漢の武帝の時代にその版図に取り込まれて
以来、中原の安定を左右すると言われるほど重要な場所であった。
というのも青蔵高原は古くは羌族、後に吐谷渾・吐蕃と、異民族の
勢力が強い土地柄だからだ。
現在の西寧市に往時を偲ぶものはほとんど残っていないが、旧市街
の南側に九世紀に吐蕃が建てた青唐城の城壁が残っている。
今の西寧市という名前は宋代に
「西陲安寧(西の辺境が穏やかである)」
に由来して付けられた。
この地域が落ち着いていると中原の為政者は安心していられるのだ
ろう。
 
 青海省交通旅游図を開くと、南絲綢之路(シルクロード南路)と
唐蕃古道の両方とも西寧を通っているのが分かる。
前者は四世紀初めに吐谷渾が開いた東西交易路である。
甘粛省から西寧を通過し青海湖の南岸沿いに西に向かいゴルムドを
通って新彊ウイグル自治区に入る。
一方、唐蕃古道は紀元七世紀吐蕃王朝成立以来、唐の長安吐蕃
結んだ茶馬古道とも呼ばれる交易路である。
同じく甘粛省から西寧を通過し、こちらは青海湖の東にある日月山
辺りで南西に方向を変え、玉樹という町を通って西蔵自治区に入る。

 「中国夏都」の別称を持つ西寧市を訪れるなら夏が良い。
西寧は標高が高いので夏でも涼しいからだ。日本人にとってはやや
乾燥しすぎだが、晴天の日の日中でも室内はひんやりしていて、ク
ーラーは必要ない。
どおりで、西寧の人達は我々が北京から来たと聞くと、口をそろえ
て「涼しいでしょう!」と言うわけだ。
そして、彼らは必ずその後に「冬だってさほど寒くなくていい所だ」
と自慢げに言う。
もっともこれに関しては、乾燥しているせいで気温の割には寒さを
感じないということ、室内は暖房設備が整っているので暖かいとい
うことを言っているようだ。最低気温がマイナス10℃を軽々下回る
のだから、寒くない筈はない。また、春は砂を含んだ強風が吹くの
であまり快適ではないらしい。
 西寧で夏に行われるイベントは盛りだくさんだ。伝統的な祭りは
いうまでもなく、環青海湖国際公路自転車レース(西寧を出発し青
海湖を1周する国際自転車レース、2005年は第4回目)や、青洽会
(中国青海省結構調整曁投資貿易洽談会)など近年始まったものま
で、実に様々なイベントが目白押しだ。
さらに青海省全体でいうと、ムスリム少数民族が山に登って民謡
を歌う「花兒会」、チベット仏教寺院で行われるタンカ御開帳など
の法会、モンゴル族のナダム祭、チベット族の競馬祭等々、民族色
豊かな伝統行事が各地で開かれる。
我々の滞在中(6月末?7月中旬)にも多くの行事が行われ、いくつ
かを見ることができた。

(つづく)
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