青海省編

熱水吐蕃墓郡(都蘭) ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

熱水吐蕃墓群といっても、
高さ20メートルほどの丘が幾重にも繋がったように山沿いに並ん
でいるだけである。
もし「熱水吐蕃墓群」と書いた標識が前に立っていなければ、
誰もそれが陵墓であることに気づかないような、
岩と雑草しかない荒涼とした場所である。
標識を見てもピンと来ないというほうが正しいかもしれない。
ものの本によると、
この一帯に200基以上もの吐蕃の陵墓があるという。
シルク以外にも金の装飾品や革靴などがこれら陵墓から発見され
たそうだ。

 一番大きな陵墓に登ってみる
(本当は、鉄条網が張ってあって登ってはいけないのだが)。
前面からは単なる丘にしか見えなかったが、
陵墓の上面には発掘時(或いはその後の盗掘時?)に開けたピット
の跡があり、背面は崖のように切り立っている。
恐る恐る下を覗き込んでみるとやはり大きなピットが開いている。
崖の上部には、
この丘が確かに人造物であることを示す木造の構造物が見える。
地下にも高さ1メートル幅3メートルの壁が巡らされているらしいが、
その遺構は見ることができなかった。
内部には、照壁・棚木・墓堂・墓門・回廊・東室・西室・中室・南室等があ
ることが確認されているそうだが、
未整備の陵墓ゆえにそれらを見学することは不可能だ。
 
 あまりに交通が不便なせいか、
ここに観光客が来ることは、ほとんど無いようだ。
「旅行シーズンには管理人がいて参観料を取る」とガイドブックに
書いてあったが、管理人はいなかった。
観光客どころか、近くに人の住んでいる気配すらなく、
バイクで往復する間も我々以外人っ子ひとり出会わなかった。

 さて、我々をバイク3人乗りで陵墓まで運んでくれたチベット族
の青年だが、彼の運転テクニックは素晴らしい。
石ころがゴロゴロした山道をかなりのスピードでかっ飛ばしていく。
それでも後ろに乗っている我々に少しも不安感を与えない。
さすが騎馬民族だけあって、バランス感覚が優れているのだろうと、
勝手に納得してしまった。
細っそりしているが精悍で何とも頼もしい。
中原を脅かした吐蕃の末裔に少々畏敬の念を抱いた。

 帰りも、ゴンパのある集落からは歩きだ。
熱水郷まで小雨でぬかるみと化した道をとぼとぼ歩いていく。
熱水郷から国道までの3キロは、
地元民のトラクターに乗せてもらうことができた。
 
 国道に出て都蘭に戻るバスを待ったが、
既に夕方4時半を過ぎている。
天気が悪いのも手伝って既に薄暗い。
バスはもう来ないのでは、と不安になる。
こうなったら、ヒッチハイクしかない。
来る車に手当たりしだい手を振る。
そして、ようやく停まってくれた車は、
鉱物資源調査会社のトラックだった。
青海省で試掘をして鉱物サンプルを北京に送るらしい。
我々が泊まっている国道沿いのホテルまで載せてくれた。

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