オフィス編その1

今日は私の会社の様子なんぞを紹介してみよう。
会社のあるオフィスビルは、北京のマンハッタンを目指しているらしいが、
一棟ごとに色が違い、しかも、どれもかなり強烈な色合いのビル群である。
そしてそこは、中央電視台1(日本でいえばNHK総合)で毎朝ニュースの後、
「今日の説法」という、時事話題を取り上げる番組があるのだが、
昨年末に、その中で紹介された、いわく付きのビルなのだ。
報道内容は、ビル群の中の1棟で身体の不調を訴える住民が相次ぎ、
調べたら、ビルの内装に使用している塗料に、通常の50倍に相当する
有毒物質が含まれていた、というものであった。
さっすが中国大陸、2倍、3倍なんて、小さい事はいわずに、
どーんと50倍!桁が違う、桁が。なーんと気前が良いではないか。
50倍等といわれると、どのくらい有害なのかもピンと来ない。
それは私のオフィスがある棟ではなかったのだが、私達がいるところも
何が使われているかなんて、わかったものではないのだ。
また話が脱線するが、まだ東北で留学生だった頃、友人が外出中に
倒れて入院したのだが、彼は日に日に衰弱していき、
やがて、自力で起き上がることすらできなくなってしまった。
お医者さんは、そんな彼に「これは胃腸に効くツボだ」と笑顔で
足ツボマッサージを施し、起きあがれない彼に「ちょっと運動しろ」と
言ってみたり、別の階の患者さんを連れてきて、
ベッドの横に立って「記念に」と横たわる彼と3ショットで写真を撮ってみたり、
と、まあ、それは、それは、とーんでもない場所だったのだ。
その時に、「もし入院する羽目になったら、動ける内に帰国して治療を受けよう」
と心に誓ったが、今の所ピンピンしているので、とりあえずは、
聞かなかった事、知らなかった事にして、深く考えないのが一番である。
中国暮らしが長くなるにつれ、ちょっとやそっとの事では動じなくなってくる。
何か有る度に一々うろたえていたら、とても暮らせない国なのだ。
そして、こんな中国ライフに慣れるにつれ、日本での社会復帰が
どんどん遠ざかっていくような気がするのは、きっと気のせいではないだろう。
私が勤める会社は、ボス夫妻を除き、スタッフは全員中国人で、
そのほとんどが若い女性である。
全社員、レイチェルだのビビアンだのと、イングリッシュネームを持っていて、
「ねー、マギー」「なに?ジェシー」と、中国人同士でもイングリッシュネームで
呼び合っている。
もちろん、このイングリッシュネームは、クリスチャンネームでもなんでもなく、
自分たちで勝手につけたものだが、名刺にもしっかり入れている。
コッテコテのエイジアン同士が、そう呼び合う図は、かなり笑えるが、
そこに”照れ”は全くなく、あたかもホントのミドルネームのようなのだ。
うーん、そこまで通せばアッパレ、と誉めてあげたい気分になる。(つづく)
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