山東労山の新茶祭(2004年)

山東半島黄海に面して海岸からすぐに壁のように立つ巨大な石灰岩の山、労山、この山の海と反対側の山麓一面に茶畑が見られます。ここが中国10大銘茶の一つ西湖竜井茶と並ぶ最高級の緑茶ー労山緑茶ーの産地です。この労山緑茶の一番茶は市価で1斤日本円で1万円もするのですが1年に1度の新茶祭では数分の一の値段で買えるとのことで中国人の友人に連れられて勇躍して参加しました。青島市街から約50キロ、一面の茶畑の中にお茶博物館と言うのがあり中国10大銘茶の一つ労山緑茶の歴史や生産についていろいろ展示されていました。日本人は中国人はウーロン茶ばかり飲んでいると思つているのですが本当は好んで飲むのは日本人と同じ緑茶なのだそうです。しかし労山緑茶や西湖竜井茶のような高級緑茶は王候貴族たち専用であつたようです。お茶博物館の周りには多くの茶園の展示即売所が並んでいてお客を呼んでいました。手もみ茶の実演や試飲する場所もありにぎやかです。この地は北緯36度よりやや北でお茶の生育出来るギリギリの北限とのこと特異な地形と気候とアルカリ性の土壌が独特の香りと風味の銘茶を生むようです。現在は殆どがビニールハウス内で生産されていますがやはり北限の気候のせいか日本の茶畑の木にくらべて背丈が低くこじんまりしていました。日本のようにバリカン刈りはなく全部手つみとのこと人件費の安い中国ならではです。摘み取つた新茶はそのまま水洗いして乾燥させ電熱式の鉄なべで人の手で手もみして仕上げます、葉が細くやわらかいので手もみ仕上げられた製品のお茶は日本のお茶とだいぶ違う形状をしています。西湖竜井茶は日本のお茶ににて細い棒状ですが同じ緑茶ですが労山緑茶は全く形状が異なり細くちじれています。何軒も即売所をはしごした結果同行の中国人の選んだ1軒で新茶を買いました。お茶は大きなビニール袋などで何重にも包まれているのですがそれを秤で250グラムつつ計つてアルミの袋にいれさらに厚紙の茶筒に入れるので時間がかかります、その間もう堪能するほど新茶を試飲してしまいました。人の良い中国人夫婦の店で、丁度昼ごろなのですが奥から雉鳥のゆで卵と赤い米のおかゆを出してきてサービスしてくれましたがとても美味しかつたです。結局同行の中国人の友人が贈り物にするのでと合計3斤も最高級の新茶を買いましたが猛烈な価格交渉であきれましたがなんと市価の5分の一の価格でした。それでもお互い満足してニコニコしてまた来年必ず来ます、来てくださいと別れますから日本人には真似出来ない中国人の特性と感心しました。帰りはバス、農村地帯を走る古い今にもエンコしそうなバスに6本の茶筒を抱えて飛び乗りました。席に座るとすぐに若い女性車掌がきつぷを売りに来ました。こんな若い女性車掌のいるバスに乗るのは何十年振りかと感激でしたがさらに運賃がたつた5元ときいてまた感激、来る時のタクシーは80元でした。このバス停留所以外でも乗りたい人が手をあげると止まるしタクシーが40分の道を1時間以上かかりましたが本当の中国を満喫できてたのしい旅でした。今毎日最高の新茶の香りとコクを楽しんでいます。中国は日本では経験出来ないすばらしい楽しみが色々あります。
(千葉のUさんから2004年にメルマガに投稿いただいたものです)
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