9月10日(火) 香格里拉―迪慶チベット族自治州へ

二日間滞在した麗江をあとにして、きょうはいよいよ迪慶(デチェン)チベット族自治州へ向かいます。麗江から北北西へ約130キロ、バスで五時間の "中甸"(ヂョンディエン)は今年の5月5日、正式に"香格里拉"(シャングリラ)と改名しましたが、地元ではまだまだ定着していないようで、バスの行き先表示はいまだ"中甸"になっています。
長時間バスに乗るのはきつそうですが、昨晩買った風邪薬のおかげで、くしゃみ、鼻水からも解放され体調もまずまず。8時前に宿をチェックアウト、服務台の女の子が重い荷物を石段下まで運んでくれました。
市の北にある長距離バスターミナルまでは歩いても10分とかからない距離ながら、目の前を次々と通るタクシーを思わず呼び止めてしまいます。「"中甸"行きは南のターミナルじゃないかな?」と運転手さんに言われて一瞬ドキッ!麗江の長距離バスターミナルは市の北と南に二ヶ所あって、中甸行きはどちらからも出ているのです。着いたときにはちょうど一台出て行くところでした。
車一台やっと通れるような狭い門の脇に切符売り場の窓口、聞いてみると次のは9時発。"南"へ行くべきだったか…とひとりごちながら、とりあえず切符(27元)を買って待つことにしました。この切符、驚いたことにコンピューター管理されていて座席番号まで入っています。もっとも普通の路線バスに座席指定の必要もないと思うのですが。
バスは定員25名ほどの小型のもので、乗客は7名ほど。うち欧米人2名を含む5名が旅行者のようです。わたしは前から二列目左側の座席、隣はナシ族の青年、強くたくましい女性たちに比べてやさしくおとなしい感じの人です。ナシ族男性の民族衣装について聞いてみると、"長衫"との答え、でも魯迅の肖像に見るような漢族のものとはちょっとちがうらしいのですが、「着たことがないのでよくわからない」とのことでした。
ブリキの箱で運転席と隔てられた前の座席には日本から来た学生カップル、こちらへ来て日本人に出会うのはこれで二回目、中国語はわからなくてもコミュニケーションは筆談でこなすと聞いて思わず感心してしまいました。
午前9時発の中甸行きバスは定刻どおり発車しました。満席になってはじめて走り出す蘭州や青海の路線バスに慣れていたので、定刻発の座席指定バスには車体はともかく快適な印象、しかしその後、思わぬ出来事が…。  (2002年掲載)
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