再生の朝に(原題 透析 judge)

河北省。裁判官ティエンの娘が盗難車でひき逃げされ死亡する。妻は抜け殻のようになり、彼自身も気力を失っていたが仕事は法に忠実に淡々とこなす。そんな折、ティエンは改正前の刑法に基づき、改正後は死刑の要件(3万元以上の窃盗と設定されています)に該当しない車2台の窃盗で拘束されていた青年に死刑判決を下す。腎臓病を患っている地元の会社社長は青年の腎臓が自分に適合することが判明すると死刑執行を早めるよう働きかける。そして執行の日に裁判官は・・・
映画パンフレットへの寄稿「中国の死刑と裁判」(田中信行教授)によると中国の刑法では何が犯罪であるかは明記されているものの、地方事情の格差が大きいことから、量刑の範囲はきわめて広く規定されているとのこと。
刑法や刑事訴訟法自体が1979年制定とのこと(前寄稿より)。社会の変化も大きく、時に矛盾大きい規定がそのままになっているという面、外部からの圧力が大きいなど、中国の裁判官もまた難しい職業だということもうかがえました。6名の俳優さん以外はエキストラ等ではない現場の人だそうで、たとえば刑務所の囚人も本物とのこと。中国映画の自由な側面も感じられます。日本では囚人が映画には出てこないでしょうから。
裁判官とその妻の絶望の中から再生を目指す一歩一歩を食卓(中国映画では多い手法ですね)から映し出すシーンも秀逸だと思いました
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