9月11日(水) 人民のみなさんと碧塔海一日観光へ

本日のツアー最後の訪問先は"納【巾白】海"(ナーパーハイ)。
実はこの湖、夏の雨季の間だけのもの、乾期に入るとしだいに水が引いて広大
な草原となるのです。その名も"伊拉草原"、"伊拉(イーラー)"とは土地のこ
とばで"広大な"という意味。そこに水がたまればそれこそ広大な湖が出現する
わけで、とくに今年は雨が多かったため水量も例年を遥かに上回り、本来なら
馬で周遊することもできるのですが、その施設も湖の中に浮かんでいる状態。
というわけで湖畔から眺めるだけとあいなりました。
ガイド嬢の話では、草原を生活の場としている人たちには政府から多少の援助
金が出るそうです。してみると先の村人の主張にも一理あるのかもしれません。

一日ツアーを終えてホテルに戻ったのは午後4時半、夕食の6時までにはまだ
間があるので、明日以降の予定を立てるため"散客中心"に行ってみました。
ここは個人旅行者の溜まり場、夏服姿で震えている日本人青年とぱったり。
貴州からきょう着いたばかりでいきなり涼しい気候にさらされ困った様子で、
徳欽(ドゥチン)行きに誘いましたがそんな余裕はとてもなさそう。
そこへ山高帽をかぶった洋装の50代後半くらいの男性と純ラサ風民族衣装の
同年輩くらいの女性が入ってきました。彼女の衣装も相当のものですが、山サ
ンゴやトルコ石を使った銀の装身具がこれまたすごいもの。気後れしながら
尋ねてみると、ラサから来たチベット族のご夫婦でした。
これはしめた!徳欽行きに誘ってみよう。
「カワカルポ(梅里雪山)一泊巡礼に行きませんか?明日でもあさってで
もいいんですが…」
「おお、カワカルポ…、行きましょう。が、明日はまずガンデン・スンツェリ
ン(松賛林寺)を巡礼しなければ…」

この人、シルップ・ドルジェ氏はチベット自治区政府検査院の幹部、なるほど
普通の人とはちょっと違う風格があるのはそういうことだったんですね。
というわけで、このチベット族幹部ご夫妻は明日、日本人青年とともに"碧塔海
・松賛林寺"一日ツアーに参加することになり、わたしとはあさっていっしょに
徳欽まで行くことに話がまとまりました。

ホテルの食堂で夕食のテーブルを囲んだのは重慶老夫婦、上海組アベックA、
Bとわたしの計7名のみでした。
アベックBの二人は碧塔海を徒歩で戻ったせいか、疲れ果ててことばも出ない
様子、唯一アベックAの二人が、モソ人の住む"瀘沽湖"(ルーグーフー)へ
行った時の感動を話してくれました。
一泊二日、民家泊まりの強行軍だったそうですが、開発の手が及んでいない
大自然、とりわけいっしょに写真をとってもお金を要求しない土地の人たちの
素朴さに感激したそうです。経済第一主義の大都会上海の人たちにとって、
それは最高の癒しだったにちがいありません。

明日はのんびりと香格里拉の街を散策してみることにしました。
(2003年掲載分)
http://homepage3.nifty.com/kamakurakoka/