中国の病院編その5

余談であるが、その東洋医のお医者さんは40代半ばの男性であった。
診察台に上半身ほとんど裸に近い状態でうつぶせになり、針やアンマ治療を
受けるのだが、手の動きが何だか怪しい気がして、ん?と思うことが多々
あった。
私は確かに腰も悪いが、「腰も悪いだろう、首のついでに腰も治療しよう」
と、腰と首に針やマッサージをしてくれるのだが、そこは腰というより、
お尻?と思うところに手が伸びている気がしなくもない。
挙句に、「くすぐったいだろう。うん、正常だ」と、脇をくすぐったりも
する。
ちょっと何すんのよー、と思うが、起き上がるわけにもいかない。
これは、立派なセクハラではないかい?
でも、治療だし、うーん、でも・・・と大きなハテナがグルグル回る。
以前、日本で交通事故に遭ったとき、外傷はなかったが、念の為に、と
MRT(でしたっけ?脳の輪切りのレントゲン)を撮った。
その際、外科医の若いお医者さんは、レントゲン写真を見ながら、
「大丈夫ですよ、ほーら、ぎっしり詰まっています。問題ありません」
と説明してくれた。
冗談だとしたら、とてもセンスがある冗談なのだが、冗談なのか真剣なのか
分からずに、「はぁ、どうも・・・」と、笑うに笑えないシチュエーション
であった。
相手がお医者さんなだけに、どこまで冗談なのかが分からない。
だから、このセクハラドクターも、ふざけているのか、治療なのかが、
微妙なところで、怒るに怒れないのだ。

A嬢に何気なく聞いてみると、やはり同様の疑問を抱いていたらしい。
「やっぱりー?」と話が盛り上がる。
どうやら、彼女は患部が腰なだけに、更に際どい感じであった。
私は30代前半、彼女は後半、「私たちなんて触ってもしょうがないよねーっ
て思うし、治療だしって思うんだけどさ、自惚れみたいでイヤなんだけどさ、
でも、何かが違うよね?」と、彼女も人知れず大きなハテナを抱えていた
らしい。彼が男性の患者を治療しているところを一度見てみたいものである。

ちなみに東洋医のドクターは手相なども勉強しているので、治療をしながら、
手相なども見てくれるので、一回で二度おいしい病院だった。
それに、ややセクハラだが、彼の腕は確かである。
若い女性にはオススメしないが、内蔵疾患や分泌系、腰痛など、
副作用がないだけに、針やアンマは、かなりオススメである。

また脱線するが、今の会社に就職が決まり、明日から出勤という前夜、
私は急に発熱した。
風邪でもなく、突然の発熱で、A嬢に「社会復帰イヤイヤ病だよー」と
からかわれたが、出社して数日でこの状態に陥ったのは、2年間もお気楽な
留学生ライフを送っていただけに、急な社会復帰に身体がびっくりして、
「イヤイヤ病」を患ったに違いない、と思っている。
しかも、ビザ手配のための帰国中は全然痛まず、毎日毎日、首のことなど
忘れて日本を謳歌していた。
やはり、精神的なもの=イヤイヤ病だったようである。

そして、そのA嬢は、明々後日から初出勤、明日いよいよ上海へ引越し、
という日の夜、一緒にテレビを見ていたら、腰痛と胃痛に襲われて突然
苦しみ出し、ベッドの上で、うめき声を上げ、のたうち回っていた。
あまりの痛がりようにオロオロしたが、「きっと社会復帰イヤイヤ病ですよー」
と慰め?たら、「そうだよね、センベンも発熱してたもんね。身体が働く事
を拒否しているのかも・・・」と言いつつも、やはり彼女も社会人経験者。
その夜は痛みのため、ほとんど眠れなかったようだが、予定通り上海へ飛び、
その後、見事に社会復帰を遂げている。
そして、上海到着後、身体も諦めたのか、痛みはピタリと止んだそうだ。
どうやら、彼女のも「イヤイヤ病」だったようである。
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