9月13日(金)〜14日(土) 梅里雪山の懐へ―徳欽一泊小旅行

早いもので雲南に来てからきょうで一週間、明後日はもう帰国です。
その前になんとしてもシャングリラの真骨頂を体験しておかなくては…、
まさにそのためにこそここまで来たのですから。

8時の出発に備えてやや早く起きたのですが、
さすがに旅の疲れがたまっているようで食欲もいまひとつ。
フロントにスーツケースを預け、
朝食も早々に済ませてロビーのソファーにくたっとなっていると、ふと側に人影が。
「ニイハオ!」
その声に思わず顔をあげると、まるっこい顔満面に人懐こそうな笑顔。
「あっ、ヤンさんですね!ニイハオ、ニイハオ!」
"一見如故"とはまさにこのこと、まるで旧知の友人のようにすぐ打ち解け、
さっきまでの疲れはどこへやら…。
「もう出発しないと!」
「待って、その前に旅行社の人に伝言しておかなくちゃ…」
と旅行社のオフィスを覗いてみるとまだ誰も来ていません。
「これがあるから大丈夫だよ」
そう言ってヤンさんが出したのは最新式の携帯電話でした。

そうそうヤンさんは"吉祥"を意味する"タシ"という名前をもっているので、
以下そう呼ぶことにします。

空を見上げると低く垂れ込める分厚い雲。180キロ先の徳欽(デチン)のお天気は?
梅里雪山ははたして姿を現してくれるのだろうか?
そんな心配が頭を掠めながら、
納[巾白]海(ナーパーハイ)の上に浮かんでいるような道―[三真]藏公路を
一路北西へ向かいます。今年の降雨は相当なものだったようで、
あと数十センチ水位が上がれば道路も沈んでいるところです。

緩やかに上っていく道は快適な黒色舗装道路、
分厚い雲にもところどころ穴があいて青空がのぞき始めました。
なんだこの調子なら大丈夫そうじゃないの、と思った瞬間、
いきなりガタンと砂利道に…。
ところどころで作業をする人たちが、
車が通る度に砂利を集めたり平らにしたりして得意の人海戦術をとっています。
尼西(ニシ)あたりまでだいたいこんな道路事情で、
タシさんはそんな情況をひっきりなしに携帯電話で同業者に伝えています。

ちょうどその頃、昨日の旅行社の人から宿と荷物移送の手はずが整ったという
電話が入ってきました。
迪慶最後の宿はバスターミナル隣の交通飯店、宿泊費の160元は直接フロントで
支払わないでタシさんに預けてくれとのこと。
160元の中に旅行社の手数料が入っているためでしょう。
それにしても、迪慶賓館に預けてきたスーツケースをそのまま交通飯店の宿泊する
部屋まで届けてくれるというのでほんとに助かります。  (つづく)
(2003年のメルマガに掲載)
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