中国旅行詠の世界

「これは紀行文ではありません。中国旅行を描き詠った先達の世界を逍遥した論集です」と著者が一言で表現している通り、正岡子規佐佐木信綱・齋藤茂吉から近藤芳美・宮柊二俵万智に至るまで、近代歌人による中国旅行詠の世界を、杜甫白居易山上憶良や著者自身の中国旅行とも絡めて思考したもの。詠むというのは対象を厳しく見つめる所作でもあるらしく、紀行文の思い入れの強さと異なる、透徹された文章が心地よかったです。
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