九寨溝・黄龍

九寨溝から黄龍への移動は、朝、乗り合いタクシーに乗るのが一般的なようだ。
バスに比べて早いし、運賃もそれほど違わない。
しかし、私たちは夕方2人でタクシーに乗り黄龍に向かった。九寨溝風景区の
外のホテルに一泊し、翌日の午前中を移動で無駄にするのが嫌だったからだ。
夕方4時ごろ風景区を出てタクシーに乗れば暗くなる前に黄龍に到着し、
翌朝一番で黄龍を見学できる。
黄龍は、九寨溝ほど大きな街をひかえている訳ではなく、こじんまりしていて
ホテルの数も少ない。
黄龍で私たちが泊まったのは、4星ホテルだ(施設・料金とも都会の4星ホテ
ルと同程度)。通常、私たちが泊まれるクラスのホテルではないが、よくした
もので、二段ベッドを使ったドミトリーがあるのだ。シャワーは従業員用、
トイレは共同(レストラン利用者用)だが部屋はきれいで快適だ。
成都のドミトリーの2倍程度のホテル代は、場所を考えれば高くない。
他を探せばもっと安い宿もあるかもしれない。食堂・商店もたくさんある。
土産物屋に至ってはうんざりするほどある。

黄龍の安食堂でメニューを見ながら考え込んでいると、老板(店主)が一品を
2人分の量にして(メニューに載っているのは4人前大皿値段だとか…)半額
にしてあげようと言ってきた。なかなか話の分かるいいオヤジで少し話したが、
彼の話では、店舗(といってもほんの小さな食堂だ)の賃貸料が1ヵ月5千元
(7万5千円)もするそうだ。おそらく、一般のこの手の店の賃貸料に比べる
と、数倍はするだろう。確かに、観光地値段で何もかも高いと感じるが、
経営者側にもいろんな苦労があるらしい。ここの老板は毎月ちゃんと賃貸料を
払えるのだろうかと思うと、もう少し高い料理を頼めばよかったと、思ったり
もする。

黄龍の風景区内は、バスはなく徒歩での移動のみとなる。
朝、開門と同時に登り始めた方がいい。最上部の五彩池・黄龍寺は3000mを越
えるところにあるので空気も薄い。入り口から3.5?の距離とはいえ、時間を
掛けてゆっくり目指したい。静まりかえった遊歩道をのんびり歩いていると、
日本では見たこともない小鳥が迎えてくれるはずだ。親切なことに、ここに
住む動植物を説明した看板も設置されている。お昼前になると朝九寨溝をバス
で出たツアー客がどっと押し寄せてきて、小鳥の姿も見えなくなった。
繁忙期は散策路が人で溢れ、景色を楽しむどころではないだろう。(つづく)

(2002年のメルマガに掲載したものです)