9月13日(金)〜14日(土) 梅里雪山の懐へ―徳欽一泊小旅行


部屋番がおかみさんなら飯炊きはおやじさんの仕事、
今晩のおかずはさっきまで道端を駆け回っていたニワトリ。
トリ小屋では哀れ運の悪い一羽が末期の悲鳴…。

外はすでに真っ暗、梅里雪山の輪郭がぼんやりと黒く見えます。
 
 「一つ、二つ…」
と陳さん、どうやら十三峰を数えているようです。
見上げれば満天の星、うっすらと天の川が横切っています。
 「あれが牽牛の星だよ」
山好きとあって現実的な上海の人にしては珍しくロマンチストの陳さん、
チベット仏教美術にもけっこう詳しいのです。

夕食は新鮮なトリの煮込み、その頃には他のお客さんたちも加わって
チンコー酒を酌み交わしながら"お山"の不思議な話に花が咲きます。

ひとり外に出て見れば、いつ湧き上ったのか綿のような雲が峰々の上にふんわりとかかり、
月明かりに反射して鈍い銀色の輝きを放っていました。

日の出は7時前、陳さんとわたしは明日に備えて先に寝むことにしました。
裸電球に照らされた部屋にはベッドの他、上に物を置く棚以外何もありません。
着替えてベッドにもぐりこんでから、ミネラルウォーターを下に置いて来たことを
思い出しましたが、いまさらもう一度着替えて取りに下りるのも面倒。
おかげで夜通し喉の渇きに悩まされることに…。
ここは海抜3,200メートルの高原、
空気もかなり乾燥しているために水分補給は欠かせません。
おまけにタシさんのイビキと寝言がこれまた相当なもの…、
一日中悪路を運転してかなり疲れたのでしょう。
それにしてもベニヤ板なみの薄壁ではたまったものではありません。

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